毎年、冬が明けて春の陽気が近づいてくると、気持ちが明るくなりますね。
それと同じくして、とても楽しみになるのが山の幸。
山奥に出掛けなくても、里山や野原などで手軽に見つけられるものも少なくありません。
今回は身近な場所でも採りやすい山菜に着目してご紹介します。
もしかすると、土地探しの道中でも見つけられるかもしれません。
最初に顔をだすのは「フキノトウ」
春先に採れる山菜は、温まった地面から最初に顔を出します。
地面から生える山菜は、タラノメやコシアブラといった「木の芽系」の山菜よりも採取時期が早く、また同じ場所でたくさん採れることもあるなど初心者向きといえます。
まずは早春の山菜の代表格のフキノトウ。
陽当たりの良い斜面や田畑のあぜ道の脇などで、地面から顔を出す愛らしい形のつぼみを見つけたときのうれしさは格別です。

早春の山菜の代表格フキノトウ
天ぷらやふき味噌にしてほろ苦さを楽しむのが一般的ですが、薄切りにしておみそ汁に入れて食べるのもストレートに風味を楽しめて意外とおすすめ。
つぼみを包む「苞」(ほう)の部分がなるべく開いていない、堅めのものが味と食感が良いため料理に向きます。
暖かい地域では1月から採れますが、積雪の多い地方だと雪解け後の5月に入ってからでも採取でき、日本列島の多様な気候を実感させてくれます。
意外と採る人がすくない「ヤブカンゾウ」
フキノトウに遅れて土手や日当たりの良い斜面などに顔を出すヤブカンゾウの若芽は、フキノトウとは対照的に苦みやクセがなく、野菜感覚で料理に使える優等生。

クセがなく、野菜感覚でおいしく食べられるヤブカンゾウ

道路脇の斜面に群生するヤブカンゾウ もう少し小ぶりのものが食用に向く
時季になると道路や畑の脇でも一斉に芽吹き、東京都内の遊歩道沿いなどでも見られますが、身近に生えているため希少価値が低く、採る人が少ない野草ともいえます。
ただ地中にある白い茎の部分を含めて全体に甘みがあり、さっと湯がいて酢みそあえにするとお箸が止まらないおいしさ。
お肉と相性が良いのも特徴で、軽く湯がいてから豚肉や鶏肉と一緒に炒めて、塩とコショウでシンプルに味付けをするとビールのお供にぴったりの一品になります。
また、ヤブカンゾウの仲間のノカンゾウも同様に食用になります。
新芽のうちは区別しにくく混生していることもあるようですが、
ヤブカンゾウ、ノカンゾウともに火を通すと小さくなるのでたくさん採るのがおすすめ。
小さめの鎌などを茎の根元に差し込んで、地中から掘り採るのがコツです。
時季が遅くなると成長して葉が堅くなり、茎も細くなるので採るタイミングが重要です。
群生地を見つけだすのが楽しい「コゴミ」
山の木々に新芽が芽吹くころになると楽しみなのがコゴミ。
若芽の先がぜんまいのように丸く巻き、つややかな濃い緑色が本格的なグリーンシーズンの到来を感じさせてくれます。

しっとりとして弾力のある茎のコゴミ 似た形のワラビよりつややかな色合い
見た目と異なり、香りや苦みがない淡泊な味は、ヤブカンゾウと同様に野菜感覚で使える山菜のひとつ。
居酒屋などでは天ぷらで出されることも多いですが、さっと湯がいてポン酢やマヨネーズを付けて食べるのが我が家の定番。
さわやかな風味と歯触りはアスパラガスに少し似ています。
コゴミは沢筋や山林に生えますが、河原の砂地など明るく陽当たりが良い場所で群生していることもあります。
小さな川に掛かる橋の上から見下ろすと、川の中州などに群生していることもあり、自分だけの採取スポットを見つけるのも山菜採りの楽しみです。
その他、市街地近郊でも採れる山菜たち
このほか市街地近郊でも採取できる、ノビルやヨモギなども立派な山菜です。
特に古来からさまざまな健康作用が伝えられてきたヨモギは、
繊維が堅いため、柔らかい葉をジューサーやミキサーで細かくすることで、スムージーやオイルと合わせたソースなど活用の幅が広がります。
パンケーキの生地に混ぜて焼くと色合いもきれいで、草餅のような風味を楽しめます。

子供も喜ぶヨモギのパンケーキ あんこを乗せてもおいしい
水辺に生えるクレソンは、お肉料理の付け合わせとして定番です。
独自のさわやかな辛味とシャキシャキとした食感を生かし、シュンギクの代わりにすき焼きに入れる「クレソンすき焼き」もおすすめ。
クレソンの辛味とほのかな苦みがすき焼きの濃いめの味付けにマッチします。

水辺に生えるクレソンの群落
自生するものは生食を避け加熱して食べた方が安心

シュンギクの代わりにクレソンを入れたすき焼き
山菜を採る時の注意点!
大人も子供も夢中になる山菜採りですが、採取するときは田畑や山林などの私有地に無断で立ち入らないように注意が必要です。
また、同じ場所で採りつくしてしまうと、再び群落をつくるまでには長い年月が必要になる場合があるため、採りつくさず、種類によっては根を残すなどの配慮が大切になります。
また農地に近い場所では、除草剤が散布されている場合もあるため注意が必要です。
形態が似ている有毒植物と誤食するケースもあるため、不安があれば詳しいひとに聞いたり、図鑑やガイドブック、ネットで特徴を調べてみたりすることも重要。
どうしても不安が残る場合、最初に食べる量は少量にした方が安全でしょう。
図鑑やガイドブックに載せられている写真は、同じ種類でも撮影した時期や場所などで形態が大きく異なる場合も少なくありません。
できれば複数の本を手元に置いて見比べるのがおすすめです。

手元にあると頼りになる図鑑やガイドブック
山菜の利用は種類の特定や調理の下処理を含めて、市販の野菜と比べると手間が掛かります。
でも自分で探した山菜を調理して味わう楽しみは格別です。
あなたも、自然との距離を縮められる山菜ライフを始めてみてはいかがでしょうか。