土地選びの悩み 移住者中心 or 集落近く?

近年、リモートワークなどの働き方改革により、二拠点居住を含め、ライフスタイルがおおきく変わってきています。

 

さて、移住先や別荘地などを探すなかで「移住者が多い地域にするか、それとも地元民の暮らす集落近くの土地にするか」で悩むこともあるかと思います。

どちらが向いているかは、ライフスタイルや価値観などで千差万別ですが、それぞれについての一般的な特徴を知っておくことは、土地選びの際に役立つかもしれません。

 

今回は、そんな「移住者中心? それとも集落の近く?」という移住先探しの疑問について、考えてみたいと思います。

 

移住者中心の土地

古くからの別荘地はもちろん、移住者向けの分譲地がおおい地域や、標高が高い地域などでは、もともとの地域住民がほとんど居住せず、いわゆる「移住者」の住まいが点在するエリアがみられます。

 

こうした場所では、地域の行事や慣習、集落内での草刈りや道路脇の側溝の泥上げといった地域活動がほとんどないため、他人に干渉されずに自分の暮らしに集中できる点が大きな特徴です。

 

都市部などから移住したひとたちの人間関係は、「付かず離れず」が一般的。

もちろん気が合う住民同士では付き合いが深まりますが、基本的に過度な干渉を避け、それぞれのライフスタイルを追求する傾向があります。

ただ移住者中心のエリアでも、ごみ収集場所の維持管理や共同井戸の設置による上水道の確保、除雪などを住民同士が共同で行うケースもあります。

 

最近では住宅地の近くでの太陽光発電施設の建設計画をめぐって、景観維持などの観点から、建設見直しを求める活動を移住者同士で連携して進める動きも各地で起きています。

移住者中心の地域は、必要な場面で力を出し合うのが特徴かもしれません。

 

一方、管理別荘地の場合、インフラ設備などの維持管理は基本的に管理会社が担いますが、多くの場合、毎年の管理費の支払いが必要になります。

また管理別荘地によっては、敷地内での土地利用を居住専用に限定し、宿泊や飲食、物販といった商行為を禁止しているケースもあります。

土地や建物を居住以外の目的で使いたい場合、その利用用途が認められているかどうか、管理会社に確認することが重要になります。

移住者中心の居住エリアに設置された住民の自主管理によるごみ収集所

 

地元民の暮らす集落近くの土地

山村部や田園地域内の集落近くの土地で新たに暮らす場合、道路脇の草刈りや、共同で管理するごみ収集場所での収集日の立ち会いといったインフラ面での共同作業がまず最初に発生します。

また、消防団や夏祭りの準備など、地域活動の多さに驚く移住者も少なくありません。

 

こうした活動は休日や仕事が終わった夜間に行われることも多いため、働き盛りの現役世代では心身ともに負担に感じてしまうケースがあります。

また「移住したばかりなのに集落内での冠婚葬祭の付き合いが多く、出費がかさむ…」という悩みも聞かれます。

 

その半面、地域活動や日々の付き合いを通して多くのひとと知り合うことができ、暮らしや仕事にとって、大きなプラスになる機会も多いといえます。

地域の文化や歴史、風土に対する理解が深まり、その土地に対する愛着が増すかもしれません。

地域住民とのつながりが生まれると、例えば畑で採れた野菜を分けてもらったり、家庭菜園などでの野菜づくりを教えてもらったり、空いている畑を貸してもらったりなど、さまざまな交流も期待されます。

 

また、地方では農林業などの一次産業や二次産業を中心に人手不足の事業所も多く、仕事を紹介してもらう機会も生まれるかもしれません。

人口減少や高齢化に直面する地域や集落にとっても、さまざまな職歴や経験を持つ移住者が新たに地域コミュニティに加わることで、地域活性化につながる可能性が生まれます。

集落近くでの暮らしは、都市部と比べて多くの違いがある

 

一方、移住を希望する集落などに遊休地や空き家があっても、すぐに買ったり、借りたりすることが難しいケースが少なくありません。

 

不動産サイトなどに物件情報が集まっている都市部と違い、特に田舎の集落内などでは、見知らぬ人に土地や家を売ったり貸したりすることに抵抗感を抱く人が多いことが背景にあります。

 

一方でこうした傾向は、地域内での自主防犯体制の維持につながっている側面があります。

都市部と比べて地域内での見守り機能が働いていると言え、子供を安心して集落内で遊ばせられるなど大きなメリットもあります。

 

「お試し移住」も

移住を目指す場合は、いきなり土地や家を購入してしまうと、「自然環境や地域の雰囲気などがイメージと違っていた」と、暮らし始めてから気が付いても、後戻りが難しく行き詰まってしまうケースが多々あります。

 

可能であれば賃貸物件などを利用する「お試し移住」的な暮らし方を通して、地域に対する理解を少しずつ深めながら、じっくりと理想の住まいや、土地、仕事を探す方が失敗は少ないといえそうです。

 

ただ前述したように、田舎では空き家は多いものの、不動産会社などによって公開されている物件情報は非常に少ない傾向があります。

このため、まずは入居条件を満たせば借りることができる地域の公営住宅に入居して、実際に暮らしたり働いたりしながら地域住民とのつながりを築き、口コミで物件を紹介してもらう方法も現実的です。

所有者に代わって賃貸物件や中古物件を紹介する、「空き家バンク制度」を設ける自治体も昨今増えています。

まずは公営住宅に入居して、地域住民とのつながりを築くのもひとつの方法

 

近年は人口減少の深刻化を受け、移住者受け入れの機運が高まっている自治体も増えています。

自治体による移住支援事業も活発化しており、以前よりもU・Iターン者が地域に入り込みやすい環境が生まれているといえます。

 

どんな土地が向いているかは十人十色。

土地や中古物件を探す中で、一目ぼれをして即決するのもひとつの方法ですが、文字通り大きな買い物となるだけに、自分が目指すライフスタイルを十分イメージしながら検討を進めた方が、充実した田舎暮らしにつながるかもしれません。

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