土地の植生によって変わる敷地整備の手間やコスト

山林や遊休地を購入した場合、すぐにその土地を使えるようになるわけではありません。

 

敷地内に車両を乗り入れられるようにしたり、家屋を建てたりするためには、

草刈りや樹木の伐採、伐採した木の根株を重機で掘り起こす伐根や道づくりなど、敷地の造成といった作業が必要になります。

 

こうした作業は、土木業者や林業会社に依頼するケースが一般的ですが「自分の土地を自分で整備してみたい」という人も増えています。

 

自分で作業をすることで土地への愛着が深まる、山の中で身体を動かしたい、チェーンソーなどの道具を使うことに興味がある、重機に乗ってみたい、土地の整備費用を抑えたい…など、土地の所有者ごとに理由はさまざまでしょう。

 

今回は土地に生えている樹木などの植生によって大きく変わる敷地整備の手間やコストについて考えます。

専門業者に作業を依頼する場合でも、土地の利活用や管理の面で知っておくと後々役立つかもしれません。

 

草や低木が生えている場合

敷地整備に必要な労力を考えた場合、最も手を付けやすい植生の土地が草や低木だけが生えている土地です。

 

背丈を超える高さのカヤやススキなどが茂っていても、刈り払い機などで刈れば見通しが効き、土地の起伏も見えてきて、今後の利用をイメージしやすくなります。

ただ、背丈の高い草が密生して原野化した広い土地の草刈りはプロでも難儀する作業となります。

 

特に夏場は熱中症になるリスクも高まります。

冬枯れして刈りやすくなった、冬から春にかけての期間が比較的刈りやすい時期といえます。

生い茂った草を刈ることで、土地の利用法がイメージしやすくなります

 

苦労して草刈りをした土地でも、放置しておくと夏から秋にかけては1~2カ月程度で新しい草が生えてきて、もとの状態とあまり変わらないような光景になることが珍しくありません。

 

草刈りの手間を考えるのは、土地利用を計画するときに留意したいポイントです。

地下茎で増えるササも生命力が強いですが、同じ場所で2~3年間続けて草刈りをすると成長の勢いを弱めることができます。

 

広域の草刈りの場合、重機や乗用草刈り機で刈り取る方法もありますが、個人で行う場合はしばしばエンジン式の刈り払い機を使います。

ホームセンターなどで販売されている廉価品は耐久性が低い製品もあり、ハードな使用だと数年で故障するケースも少なくありません。

使用頻度が高かったり、広域で利用する場合などは、多少高価ですがプロ用の製品を選ぶと長い期間使えるでしょう。

 

木が生えている土地の場合、高さが3~4メートル程度の低木で、幹の太さが大人の腕程度までなら、初心者がノコギリなどを使って伐採することが可能です。

手首程度までの太さの木なら、慣れていれば刈り払い機を使って伐採することも可能です。

ただ誤った方法で刈払い機を使うと思わぬけがにつながる恐れもあるため、正しい使い方の習得が必要です。

 

刈り払い機の活用法については、あらためて当コラムでご紹介します。

 

木が生えている場合

利用したい土地に木が生えているときは、通常、伐採や伐根をした後に、道づくりや家屋の建設予定地の造成といった作業に入ります。

 

山林を購入された方のなかには、チェーンソーを用意したり、重機を借りたりして自分で伐採や伐根などにチャレンジするケースもあります。

業者に依頼する場合を含めて、木の樹高や本数、種類によって伐採や伐根に必要な時間や労力、また作業時の危険性などが変わってきます。

作業に使う重機の種類やサイズも異なります。

 

伐採を例にした場合、作業に大きく影響するのが木の大きさや本数です。

例えば幹の太さが直径40センチ、樹高が20メートル程度の木を何本か伐採して伐根するには、丸太や枝葉の移動を含めて大型の重機を使わないと難しいケースが多いでしょう。

 

近くに家屋や電線などがあり、特定の方向にしか木を安全に倒せない場合は、重機に付いているウインチから伸ばしたワイヤーで、安全な方向に幹を引きながら伐採する方法も取られます。

抜根についてもある程度の大きさの木の場合、大型の重機を使わないと効率が悪く、多くの時間が掛かる場合がほとんどです。

大きい木の伐採や伐根は、重機を使わないと難しい場合が多い(カラマツの伐採現場)

 

幹の直径が15センチ程度、高さが10メートル程度までの木の場合、チェーンソーの使い方をある程度習熟すれば、自分で伐採し小型の重機で時間を掛けて抜根することも可能です。

 

ただ作業者の技術や木の本数によって作業に要する時間は大きく変わりますし、傾斜の有無など現場の立地条件も作業効率や安全性に大きく関わります。

自分で木を伐採しようとする際に知っておきたい点や、山林整備で使う重機についても、当コラムであらためて触れたいと思います。

 

樹種の違いでも異なる作業の難易度

伐採や伐根をする際の難易度は、木の種類も関係します。

 

一般的にナラ類やクリ、クヌギ、クルミといった広葉樹はチェーンソーで伐採する際に裂けやすく、大きな事故につながる可能性があるため、十分な技術が必要です。

また、アカマツは成長すると大きく枝を広げるとともに、幹の形が緩やかに曲がる場合が多く、重心を読みにくいため伐採には経験や技術が必要となります。

樹高が高いアカマツ。初心者による伐採は大きな危険を伴う

 

また、国内の人工林に多いヒノキは、幹の上の方に丈夫で折れにくい枝を密生させているため、込み入った森の中では、隣接する木々の枝にもたれかかって伐り倒すことが難しいケースが少なくありません。

密生したヒノキ林。樹高は高くないものの、込み合っているため伐りにくい場合が多い

 

西日本を中心に遊休地などでの繁茂が問題となっている竹は、樹高に対して幹が細く、また内部が空洞になっているため、葉を含めた全体の重量が非常に軽い特性があります。

 

このため比較的簡単に伐採できますが、密集して生えている場所が多いため、伐採や幹の処理といった作業に大きな労力を要することが少なくありません。

ササと同様に地下茎で増えるため、伐採しても翌年以降に再び生えてくることが多く、整備には相当の手間が予想されます。

 

伐採して終わりではなく、抜根作業が必要なことも

木を伐採したのちに、道などを作る場合には抜根作業も必要になります。

 

伐根の際には、例えばアカマツは直根と呼ばれる太い根が地中深くまで伸びているため、比較的掘り起こしにくい特性があります。

くらべて、北海道や長野県、岩手県などに多く植えられているカラマツは根の張り方が比較的浅く、伐根しやすいといった樹種ごとの特徴があります。

大型重機を使ったカラマツの伐根作業

 

かつての里山ではおおくの山が薪炭林として活用され、15年に一度などのサイクルで伐採と、その後の切り株からの芽吹きによる「萌芽更新」が繰り返されてきました。

 

このため手付かずの原生林のように、巨木が生えている土地は実は希少です。

スギやヒノキに代表される植林地も、戦後に植林されたところが多いため、神社やお寺にあるような巨木はあまり見かけません。

 

ただ、樹高が10~20メートルの木でも、生えている場所によっては伐採に神経を使ったり、小型の重機しか使えない場合には思いのほか伐根に時間が掛かったりする場合が少なくありません。

山林や原野などを購入して整備する際は、生えている草木の種類や大きさ、傾斜などの地形をよく理解し、重機を含めてどんな道具や資機材が必要になるかを十分検討することが望ましいでしょう。

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