土地の立地環境や特性を知ろう

山林や遊休地では、土地の全体や一部が傾斜していたり、敷地内に沢や窪地、水はけが悪くてぬかるんだ場所があったりするケースが少なくありません。

 

用途にもよりますが、特に家屋を建てたり、プライベートなキャンプエリアとして使ったりする際は、そうした土地全体の状態や特性を考慮する必要があります。

今回は、そんな土地の立地環境や特性について考えていきたいと思います。

 

傾斜地がある土地

造成されていたり、更地になったりしている宅地と異なり、山林や遊休地の多くは、多少なりとも傾斜があるケースがほとんどです。

 

例外として、現況は森林や荒れ地になっていても、かつては田んぼや畑として使われていた場合は、平たんな地形になっていることがありますが、地目が農地だと農地転用の手続きが必要になる場合があります。

 

土地の傾斜が強い場合、利用にさまざまな条件や制約が出てくる可能性があります。

家屋を建てる際には、まず建設予定地を決めますが、どの辺りに建てられそうか、またその場所に工事用の車両やマイカーを進入させるための道を造れるかどうかを検討する必要があります。

 

そのほか、水道や電気などのライフライン確保についても確認が必要です。

立地条件によっては車両を通すための道造りに、大型重機を使った工事が必要になる場合がある

 

平屋建ての家や小屋を建てる場合でも、2~4トン積みのクレーン付きのトラックが進入できると建設作業が効率的に進みます。

 

未整備の山林などに車両を進入できるようにするには、建設業者や林業会社などに依頼して、重機を使って道を作ってもらうケースが一般的ですが、道の延長が長く、また土地の傾斜が強いほど作業は難しくなり、費用が増える傾向があります。

 

また「雨が降ると地面が固まりにくい」「岩盤帯がある」「地面に大きな石が埋まっている」「地下水位が低い」など、土地ごとの特性もあります。

地域の事情に精通した地元の建設業者や林業会社などに相談できれば、土地利用の参考になる情報を得やすいでしょう。

傾斜が強い土地に建てられた別荘の基礎部分。
土地の傾斜が家屋建設などにどのように影響するか知っておきたい

 

道の勾配は一般的に15~20%(100メートル進んで15~20メートル上がる)を超えるとマイカーで上がるのが難しくなります。

 

敷地内に道を造る場合、最大でどの程度の勾配になりそうかも確認したいポイントです。

具体的な道造りの流れや、生えている木の伐採方法などについては、今後の当コラムでご紹介したいと思います。

 

沢や水路、窪がある土地

広大な山林や遊休地などでは、敷地内に小さな沢や自然の水路、窪地がある場合があります。

 

普段は水が流れていなくても、重機で地面を掘ると水がしみ出してきたり、大雨のときに勢いよく水が流れてきたりするケースもあります。

こうした沢や水路の周辺には、過去の大雨で上流から流されてきた大きな石が埋まっていることも少なくありません。

車が通行する道を造ったり、家屋を建てたりする際は留意したいポイントです。

 

そうした場所に道を造るときには、水の流れ道になっている部分に樹脂やコンクリートで作られた土木工事用の菅を埋め、その上に盛り土や砕石を敷いて簡易的な橋を設ける方法があります。

小さな沢に樹脂製のパイプを埋めて簡易的な橋を造った例

 

道と水路との高低差が少なく、普段は水があまり流れていない場合には、水が流れる部分に石を敷き詰めて浅くして、その上を車や重機が直接走行する「洗い越し」と呼ばれる工法もあります。

最も簡単な工法ですが、大雨が降ると道が水没する場合があるため、主に林業や土木工事の現場で使われています。

 

このほかに、水はけが悪く地盤が緩い箇所に丸太や木の板を並べて敷き詰めたり、砕石や小石を厚く敷いたりして車のタイヤが埋まらないようにする方法もあります。

このように、身近に手に入る材料を工夫して使うことも山暮らしの楽しみといえるかもしれません。

水はけが悪い場所に木の板を敷き並べて、乗用車が通れるようにした道

 

また、沢や水路を含んだり、隣接したりしている土地は土砂災害警戒区域に指定されていることがあります。

 

指定地域であっても土砂災害の危険性が比較的低いと考えられる場合もありますが、購入を検討する土地が該当しているときには、専門家のアドバイスも踏まえながら、土砂災害の具体的なリスクや土地利用の方法を検討するのがよいでしょう。

 

方位で考える

土地が傾斜している場合、どの方位に向かっているかで陽当たりが大きく変わります。

 

北向き斜面の場合、とくに冬場は日照時間が短くなるため、半日しか陽が当たらない「半日村」と呼ばれている地域もあります。

冬場の光熱費に影響するほか、家庭菜園を楽しもうとする場合も野菜などの生育に影響が出る可能性があります。

また降雪があった場合も北向き斜面の方が雪が解けにくくなります。

一方、西向きの斜面は、冬場は長く陽が当たる半面、夏場は強い西日に悩まされる可能性があります。

 

また、冬場の日照は敷地や隣接地に生えている木の種類や高さによっても変わります。

南向きの斜面に立地していても、スギやヒノキを含めて一年中、葉を付けている常緑樹に囲まれていると陽当たりは悪くなります。

一方、冬場に葉を落とす落葉樹は夏には木陰をつくってくれ、冬には日差しを通してくれます。

 

土地探しの際は、四季を通して同じ場所に足を運んでみることで、気温はもちろん、日照や風当たりを含めたその場所の気候について理解が深まり、土地の利用に関するさまざまな気付きを得られるでしょう。

 

生えている木の種類の違いが、どのように山林の整備作業や土地の利活用、暮らしに影響するかは、あらためて当コラムでご紹介したいと思います。

 

プラス要素を見つけよう

価格的に手が届きやすい山林や遊休地の場合、部分的に傾斜が強かったり、水はけが悪かったりするケースは少なくありません。

 

また希望する方位の土地に出会えないこともあるでしょう。

防災上の観点を留意するのはもちろん重要ですが、傾斜や起伏を含めて、その土地の特性を自分なりに生かして活用するのも面白そうです。

 

例えば沢筋や水はけが悪い場所があった場合、そうした環境を好む山菜や野草、キノコを採ったり、自分で育てたりする楽しみも考えられます。

また井戸を掘る場合もプラスになる可能性があります。

沢沿いなどに好んで生える植物にも着目したい(写真は水辺に自生するセリ)

 

日中でも気温が上がりにくい北向き斜面の土地では、冬場は天然氷を作って楽しめるかもしれません。

 

また傾斜がある土地では、斜面に小さな横穴を掘って食品貯蔵用の天然の「室(むろ)」を作れば、畑で育てた野菜や手作りした加工食品などの貯蔵に使え、万一停電になって冷蔵庫を使えなくなった場合にも役立ちそうです。

傾斜を含めた土地全体のロケーションを生かすことで、新たな楽しみ方が生まれる

 

山林の場合は、かつて薪炭利用が盛んであった場所が多いため、山仕事のための道のこん跡が見つかるケースがあります。

 

そうした場合は道幅を広げるなどして再活用することで、新たに道を造るよりも労力やコストを抑えられます。

山の中にひっそりと残された古道に息を吹き返らせることで、その土地に対する愛着が増すことと思います。

 

山林や遊休地購入を検討する際は、もともとの地形を生かした、自分なりの楽しみ方を考えてみるのも面白いかもしれませんね。

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