八ケ岳山麓の森の中で見つけた築47年の格安物件の敷地整備やリノベーションの取り組みを紹介するコラム。今回は室内壁の塗り替え作業に挑戦した様子を報告します。
「ザ・昭和の別荘」→明るい雰囲気に
高度経済成長の熱気が冷めやらない別荘ブーム時代に建てられた我が家の物件。建具の造りから照明器具に至るまで、まさに「ザ・昭和の別荘」という雰囲気がそこかしこに漂っています。

昭和感あふれる室内
当時、雨後のタケノコのように建てられた全国の他の別荘と同じように、内装は基本的にチープ。居間や台所の床も同様で、子供の頃に住んでいた社宅と同じような木目調の化粧板が昭和感を醸し出しています。
ノスタルジックな雰囲気も悪くはないものの、「どうせならもう少し明るくすっきりとした、センスの良い住まいにしたい」ということで、既存の床の上に地場産材を使った無垢のフローリング材を敷くことに決めました。

リノベーションに使う木材の買い出し風景
一方、居間や台所、玄関回りの室内壁は、木目柄がプリントされた安っぽい合板仕様。できれば壁も明るく塗り替えて全体的な模様替えをしたい―。そうすると作業中に垂れたペンキによる床の汚れを防ぐため、新たな床材を敷く前に行う必要がある―。
ということで急遽、年末年始の休みを利用して室内壁の塗り替えにチャレンジすることにしました。

木目柄プリントの床や室内壁
根気の養生作業
本格的なペンキ塗りは初めての筆者。今回は古民家リノベーションの経験がある妻に一から教わりながら挑戦してみました。
まずはペンキがむらなく付着するように、雑巾を使って壁のほこりや汚れをふき取ります。我が家は最上部の高さが約4メートルの吹き抜け構造なので、壁全体を軽くふくだけでもハシゴを立てる必要がありひと苦労。

ハシゴを伸ばしたついでに、梁の上にたまったほこりもふき取る
次に床の立ち上がり部分や窓枠、吹き抜け部分の梁、照明器具の周りなどにマスキングテープを張って養生します。
作業を始めてみて、養生箇所の多さに閉口。塗り始めるまでの道のりの長さに思わずめまいがします。特に台所付近は、壁から突き出た収納棚や照明器具があって複雑。靴棚のある玄関回りや洗濯機の収納スペースも凹凸が多く、養生に手間が掛かります。
最も面倒だったのが居間の吹き抜けの天井付近。高さが4メートル程あるため、室内に約3.6メートルの一連ハシゴを持ち込んで登り、最上部の天窓付近に養生テープを張っていきます。

根気が必要な養生作業
「目が届きにくい部分は多少いい加減な養生でも構わないだろう…。でも安普請の家。雑な作業をするとチープさが際立ってしまうかも…」。自問自答を繰り返しながら、黙々と手を動かします。
根気の目地塗り
養生作業には二人で約半日を費やし、いよいよ待望のペンキ塗りのスタート。ペンキの色にはベーシックなアイボリーを選び、健康に悪影響のある揮発成分が少ない水性タイプを近所のホームセンターで購入しました。

水性タイプの屋内用塗料
我が家の室内壁はパネル状の合板を張り合わせてあるため、合板同士の継ぎ目には溝状の目地があります。大面積を効率良く塗れるローラー形の刷毛では、この目地部分に塗料が付着しません。
そのため最初に筆形の刷毛を使って目地部分にペンキを塗り込む必要がある―。妻からアドバイスを受けます。
およそ10センチ間隔で横方向に走る目地を刷毛で埋めていくのは養生と同じくらい手間の掛かる作業。特に吹き抜け上部は高いハシゴに登った状態で作業するため、肩が凝り、しんどさが増します。

横方向の目地を埋める作業
そしてこの目地塗り作業が意外とペンキを消費することが判明。購入したペンキ缶には、一缶で約7畳分の面積を塗れると書かれていましたが、あくまで平らな壁を想定した場合。目地を埋めていくだけでも、みるみるとペンキが減っていきます。
室内壁の塗り替え作業は三日間に渡って行いましたが、当初購入した1缶ではとても足りず、作業初日の夕刻、年末で閉店時間が早まったホームセンターに駆け込んで買い足し、結局合計4缶を使用しました。
塗りムラ注意のローラー刷毛
目地を埋めた後は、塗りムラにならないように、手早くローラー形の刷毛を使って壁全体を仕上げ塗りします。筆形の刷毛と違って大面積を塗れるため、部屋の表情が一気に変わっていく喜びを体感できます。
「ケチケチぜずにペンキをローラーに多めに浸けて厚めに塗るのがきれいに仕上がるコツ」と妻からアドバイス。しかしペンキ一缶で5,000円弱。持ち前の貧乏性で、なるべくペンキを節約したい…という気持ちとの葛藤に悩まされます。
大面積を均等に塗れそうなローラー刷毛ですが、目地部分を下塗りしたため、全体的に塗りムラが出やすくなってしまいました。一見綺麗に塗れているように見えても、少し時間を置いてから遠目でみると、塗料が薄いところが青白く見えます。

ローラー形の刷毛(手前)と筆形の刷毛(左)
照明を付けてなるべく部屋全体を明るくして、塗っている壁に目を凝らし、ときどきハシゴから降りて遠目になって観察し、塗りが薄いところは再度ローラーを掛けて塗りムラを解消―。そんな作業を繰り返します。

重ね塗りをして塗りムラを解消させる
こうして三日間かけて、なんとか合計12畳ほどの広さの居間と台所、玄関回りの室内壁の塗り替えが完了。あらためて眺めてみると、目地の部分の凹凸がレンガ風となり、昭和の時代の公営住宅や社宅の壁のようなノスタルジックな味わいにも感じられる仕上がりになりました。

塗り替え前の室内

塗り替え後の室内
それでも全体的に明るくなり、リノベ感ばっちりで大満足。年末年始返上の手間と時間に見合う出来栄えとなりました。次に控える床のフローリング材の敷き直し作業で、部屋の表情が新たにどう変化するか期待が高まります。
次回の後編では、効率的な作業に役立つ道具や仕上がりを左右するポイントなど、今回の室内壁の塗り替え作業で気付いた点を紹介します。