自宅に隣接する竹林が広がり、敷地全体が竹に飲み込まれそうになっている住宅の敷地整備を取り上げるコラムの第二弾。今回は作業の様子をレポートします。
隣地との境界を確保
今回作業に当てられるのは一日だけ。
そこで「前編」で取り上げたように重点作業を三つに絞りました。
①隣家との境界の竹を2メートル程の幅で伐採
②自宅の軒先まで竹が押し寄せている部分は、家から10メートル程の幅で竹を伐採
③庭木や雑草が放置状態になっている庭を草刈りと剪定ですっきりさせる
まず①に着手。竹を伐採する前に、延長15メートルほどの隣家との境界に沿って刈払機を掛けていきます。高さが2~3メートル程度で、手首ほどの太さの竹は、チップソーを付けた刈払機でも簡単に伐ることができるので、草刈りと同時進行で細い竹の伐採も進めていきます。

竹の伐採の前に刈払機を掛けて下準備
安全な伐採方法
隣地との境界の草刈りが済んで、ある程度すっきりしたところで竹の伐採に取り掛かります。今回の現場に生えているのは「ハチク」と呼ばれる比較的小型の竹。
それでも大きいものは、6、7メートルほどの高さがあり、伐っている途中で隣家の方に倒れ込まないように注意が必要です。
ノコギリで幹に慎重に切れ込みを入れつつ、隣家に向けて倒れないように、もう片方の手で押さえながら倒す方向を調整します。
隣り合っている竹に押し付けながら根元を切り離し、根元を両手ですくい上げるように持ち上げて手前方向に引っ張ると、隣地に倒れ込まずにゆっくりと安全に寝かせることができます。近くに電線がある場合などもこの方法が有効です。
ただ大人の腕以上の太さがあり、高さも7~8メートル以上などと大きい竹を切る場合は、幹の途中に巻いたロープを別の人が引っ張るなどして、倒れる方向を制御しながら切り倒すのが安全です。

倒す方向を調整しながらの伐採
今回は草刈り作業と併せて、1時間ほどで10本程度の竹を伐採。切った竹は幹を半分程度の長さに切った後で、向きを揃えて竹林の中に積み上げました。
家の周りをスッキリ
水分を補給してひと休みをした後、続いて作業②「自宅の軒先まで竹が押し寄せている部分は、家から10メートル程の幅で竹を伐採」に着手します。
まずは①の作業と同じように、チップソーを付けた刈払機で生い茂った雑草や笹を刈り取ります。ここでも手首ほどの太さの竹や野生化したタラノキは刈払機で次々に伐採し、作業時間の短縮を図ります。
ある程度、全体がすっきりとして見通しが良くなったら、いよいよ残った太い竹の伐採に着手。伐った後に倒れても家屋などに当たらない場合は、前回コラムで紹介した小型のトップハンドル型チェーンソーでズバズバと伐っていきます。

刈払機やチェーンソーを使って効率的に伐採
竹を伐採するときには、腰の高さ程度の高めの位置で切ると、切った後に新しい竹が生えにくく、シカなどの移動を妨げて獣害対策になるという意見もあります。ただ中途半端な高さで切ると、切り株が邪魔で歩きにくく、今後の作業がしにくくなるので、今回はなるべく地際で切りました。
幹の処理方法は?
切った後は幹や枝葉の処理が問題になります。処理方法は大きく分けて
①林内や敷地に残置
②敷地外に持ち出し
③敷地内で粉砕処理
の三つ。
最も一般的なのは①で、切った竹をそのまま、あるいは、ある程度短く切ってから、邪魔にならない場所に並べて積み重ねます。このとき積み上げた竹を押さえる杭代わりに、数本の竹を腰の高さ程度の高めの位置で切っておくと便利です。
木材を受け入れる処分業者などに持ち込む場合は②となります。通常は軽トラなどに積み込み、1キロ当たり数十円といった処分量を払って引き取ってもらいます。ただ竹は木材と異なり、体積の割に軽いため、軽トラなどの荷台に積み上げても安定せず荷崩れしやすい特徴があります。
竹をトラックで運ぶときには荷台にしっかりと結束し、走行中の風圧で荷崩れしていないかどうかときどき点検します。
林業や造園の業者に伐採を依頼したときに行われることがあるのが③の粉砕処理。チッパーと呼ばれるエンジン式粉砕機で竹の幹や樹木の枝葉をチップ状に粉砕し、地面にまいて土に自然分解させます。
大量の竹や枝葉が驚くほど少量のチップになるため、主に狭い敷地の場合に行われます。場所を取らず邪魔になりません。竹は中空で軽く、粉砕しやすいため、軽トラで運べる小型のチッパ―でも充分粉砕できます。竹を粉砕したチップは畑の良質な土壌改良剤となります。小型のチッパ―は建機リース会社からレンタルできます。
チッパーによる枝葉の粉砕作業
伐った竹を「バリケード」に
今回は手間とコスト、時間の関係で①を選びました。竹を伐採した後、「柵」のような形で横に並べて積み上げ、「竹林のまま残すエリア」と「竹が生えないように管理するエリア」にゾーニングする資材として使う狙いです。
前述したように二、三本の竹を腰の高さ程度で高めに伐っておき、積み重ねた竹をおさえる「杭」にします。
切った竹は長いものは半分程度、短いものはそのままで、どんどん積み上げていきます。写真は切った竹がまだ青々としていて分かりにくいですが、こうすることで、土地利用にメリハリがつき管理しやすくなります。

切り株に引っ掛けて積み上げると崩れにくい
家周りのやぶや雑草もスッキリ
竹の伐採がひと段落したところで、最後の作業である「庭の草刈りと植栽木の剪定」に取り掛かります。
家の北側の子供部屋の前の荒れ方がひどく、草やササが伸び放題で窓や外壁に迫っています。「蚊も入るし、夏でも子供たちは窓を開けたがらない」と知人。
鬱蒼(うっそう)とした場所に刈払機を持って突入し、どんどん刈り広げていくと、日当たりと風通しが蘇ってきました。

草木が生い茂った庭の刈り払い作業
最後に家の南側の庭に移動。まずは庭木のアカマツの枝が伸び放題だったので太枝をチェーンソーでばっさりと切り落とします。
常緑のマツは風情がありますが、成長力が旺盛で、放っておくとすぐにこんもりと枝葉が茂ってしまいます。
野生化したタラノキが何本もあったので、それも根元から刈払機で伐採。庭を浸食しつつあるササや細い竹、雑草も刈っていくと、広々とした庭が蘇ってきました。

手入れ不足で下枝が枯れ上がったマツを剪定
作業もまもなく終盤。最後の力をふり絞って片付け作業に入ります。剪定した重いマツの太枝を引きずりながら敷地の隅にある枝捨て場まで運んで積み上げます。枝捨て場まで何度か往復してようやく片付けが終わりました。
ハチに注意!
今回のように、普段人の手が入らない場所を手入れするときに特に注意が必要なのがハチの襲来です。特に夏から秋にかけては、アシナガバチやスズメバチの活動が活発で、巣を攻撃されると何匹ものハチが飛び出してきてあっという間に刺されます。
生い茂ったやぶの中に作られた巣を見つけるのは難しいですが、作業の前に長い木の棒などで枝葉をたたいて、ハチが飛び出してこないか確認すると不意の襲来をある程度防ぐことができます。
ただ地面の中で巣作りをするハチもいます。万一、刺されたり、襲われたりした場合に備え、ハチ除けスプレーや、刺された後の毒を吸い取るポイズンリムーバーの携行は必須です。

地面にできたオオスズメバチの巣の駆除風景
手入れが大事!
庭や敷地を含めたフィールド整備で大切になるのが維持管理。せっかく伐採した竹林も翌年の春には新たなタケノコが生え、放っておくと一、二年で竹林に戻ります。
草刈りをして綺麗になった庭も、夏場は最低でも月に一回程度は草刈りをしないと、あっという間に草が伸び放題になります。
こうした手入れを手道具だけで行うと膨大な労力と時間が必要ですが、「前編」で紹介した刈払機や小型のチェーンソーを使うと、作業が大きくはかどります。
このような機械類を安全に使いこなすにはある程度の慣れと経験が必要ですが、作業時間の短縮と「仕上がりの良さ」に大いに貢献してくれます。
大汗を流して仕事をした後に、すっきりとした庭や敷地を眺めながら飲むビールの味は格別。肉体的には辛くても、作業の後に労働の成果をはっきりと感じられるのがフィールド整備の魅力です。

日当たりと風通しがよみがえった裏庭
最低限の道具をそろえて、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。