森の中の格安物件を整える【番外編】 竹害対策 前編

八ケ岳山麓の森の中で見つけた築46年の格安物件の敷地整備やリノベーションに取り組む筆者によるコラム。今回は番外編として、放置竹林が迫り、自宅が竹に飲み込まれそうになっている知人の家で、伐採などの敷地整備に取り組んだ様子をお伝えします。

 深刻化する「竹害」

里山や農村で全国的に問題になっているのが放置竹林。竹は軽く丈夫な素材として、さまざまな生活用品や工芸品に使われてきましたが、高度経済成長期を境にプラスチックなどの素材に転換。その結果、手入れがされない放置竹林が全国で急増し、畑や住宅の敷地などにも竹林が押し寄せる「竹害」が全国で問題になっています。

全国で問題になっている放置竹林

 

放置竹林は景観を損ねるほかに、日当たりや風通しが悪くなって住環境を悪化させたり、野生鳥獣の出没を招く原因にもなります。旺盛な成長力の竹は住宅の床を突き破って生えてくることもあり、放っておくと文字通り、竹林に家が飲み込まれる事態になりかねません。

竹は温暖な気候を好むため、近年の温暖化が竹林の拡大を促しているという指摘もあります。

飲み込まれる古民家

私自身は普段は別荘地での樹木の伐採や草刈りなどの仕事を主にしています。今回は私が暮らす山梨県北杜市の古民家に暮らす知人から竹林の伐採を相談されました。

 

築100年近いと思われる古民家を数年ぶりに訪ねてみてびっくり。300坪ほどの敷地の西側の川沿いに広がっていた竹林が家のすぐ横まで押し寄せています。

 

竹の種類は春から初夏にかけて細目のタケノコが生える「ハチク」。ハチクはアクが少なくて美味しいですが、ここまで家に迫ると脅威にすら感じてしまいます。

 

家の壁際から生えた竹は、枝葉が垂れ下がって軒先や雨どいに触れている状況。さらに隣の家との境界付近にもたくさんの竹が生えて、枝葉が隣の敷地に入り込んでいます。雨や雪が降ると、枝葉がしなって隣家の屋根に覆いかぶさってしまうこともあるそうです。

 

壁際まで迫る竹や草

 

庭では雑草に加えて春の山菜用に植えたタラの木やアカマツなどの庭木が伸び放題。特にタラノキは地下茎で増えるのでやっかいです。数年前に訪れたときに見た広々とした庭の光景はすっかり面影を消し、まるで熱帯雨林のジャングルのような様相になっていました。

荒れ放題となっている軒先や庭

 

「庭に生えてきた竹や雑草をのこぎりで頑張って伐っていたけど追いつかなくて…。エンジン式の刈払機も買ったけど使いこなせなかった」。知人もあまりの庭の変わりように驚いた様子。「このままではあと二、三年で家が竹林ややぶの中に飲み込まれちゃいそう」と不安げです。

 

私が住む八ケ岳山麓では、この知人のように「庭や敷地の草刈りに手が回らない」と悩む人が増えています。都会の住宅の狭い庭と違い、田舎では敷地が広い上に草丈も長く、成長も旺盛。

草のほかに雑木なども生えてきて、放っておくとあっという間に庭が山林に戻ります。温暖化で高温多湿の気候になる中、草木の成長の勢いは年々旺盛になっている印象も受けます。

 

「ゾーニング」でターゲットを絞る!

敷地全体の竹や雑木を一人で伐採し、伐った幹や枝葉を整理するには5日程度は掛かりそうです。今回は一日しか作業時間を取れなかったため、

 

①隣家との境界の竹を2メートル程の幅で伐採

②自宅の軒先まで竹が押し寄せている部分は、家から5メートル程の幅で竹を伐採

③庭木や雑草が放置状態になっている庭を草刈りと剪定ですっきりさせる

の三つに絞って作業をすることにしました。

 

①隣家への竹の侵入を防ぐための緩衝帯づくり

②家の周りへの竹の侵入を防ぐ重点エリア整備

③景観や日当たり、風通しを確保するための庭整備

の大きく三つに分けることで、作業の優先順位付けを行い、今後の維持管理作業もしやすくする狙いです。

 

「三種の神器」で竹と向き合う

伐採や草刈りなどの作業を短時間で効率よく行うために不可欠なのが道具選び。

今回の作業では

①竹などの小径木の伐採に適した小型チェーンソー

②伐採用のノコギリ

③刈払機

の三つを用意しました。

 

①はトップハンドルタイプと呼ばれるチェーンソーで、主に枝打ちや果樹園での剪定に使われるタイプ。幹の内部が中空になっている竹はノコギリでも簡単に切り倒せますが、チェーンソーを使うと半分以下の時間で済み、作業効率の大幅アップにつながります。

 

最近は始動が楽で、燃料の用意も不要なバッテリータイプの製品も増えており、フィールド整備の強い味方になっています。

トップハンドル型チェーンソー(中、下)。上は通常の「リヤハンドル型」

 

腰に下げておくと便利なのが②の伐採用のノコギリ。軽量で鞘から引き抜くだけで使えるため、細目の竹を切るときなどに便利です。ホームセンターなどで売られている山林用の粗目タイプが使いやすくて気に入っています。

 

ほかに竹の枝を払うときには軽めのナタも重宝します。「スパッスパッ」とテンポよく枝払いができるナタは便利ですが、指を切るなどの怪我もしやすいので注意が必要です。

 

山林整備で活躍するノコギリとナタ

 

刈払機は必携

③の刈払機も作業効率アップに欠かせないアイテム。チェーンソーやノコギリと異なり、立ったままの姿勢で使えるため、身体が疲れません。また一振りで広範囲に動かせるため、直径数センチ程度の細い竹なら草刈り感覚で伐っていくことができます。市販のチップソーを取り付けて使います。

 

近年は刈払機もバッテリー式の製品が増えてきました。ただ機械自体のパワーと連続使用時間を考えると、エンジン式に軍配が上がります。刈払機の形状は自転車のハンドルのような形をした「Uハンドル」と呼ばれるタイプが一般的。

 

ただ竹林などの山林整備では、狭い場所でも使えて、地形や対象物によってさまざまな持ち方ができる「シングルハンド」や「ループハンドル」と呼ばれるタイプがおすすめです。ホームセンターで販売していない場合もありますが、農業機械の専門店では取り扱っています。

 

山林整備で活躍するループハンドルタイプの刈払機

 

次回はこうした道具を駆使して実際に作業をした様子をお伝えします。

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