なるべくお金を掛けずに移住や二拠点居住を楽しみたい場合、まず頭に浮かぶのが「古い家を買って自分でリノベーションする」という選択肢。今回は昨年末に築46年の中古別荘を衝動買いしてしまった筆者の体験を綴ります。
自由に遊べるフィールドを…
八ケ岳山麓に移住して9年目。移住を契機に、デスクワーク系の職種から林業に転職し、現在は伐採関係の仕事とともに、前職の経験を生かした仕事もしている筆者。移住生活におおむね満足しているものの、満たされない思いも常に頭の片隅にありました。それが「自分のフィールドがほしい」という願望。
移住後は公営住宅を含めた借家暮らしが長いため「自分自身の好きなように手を入れられる土地や建物を手に入れたい…」と思い続けてきました。
そのため地元不動産会社のホームページチェックが日課に。仕事柄、伐採などで地域のいろいろな場所に出掛けることが多いため、各社のホームページに掲載されている土地や建物の多くは、写真を見ただけで「ああ、あそこの物件ね」と分かるほど、詳しくなりました。
しかしロケーションや価格の面でなかなかピンとくる物件が見つからないまま、あっというまに月日が経過。そのうちにコロナ渦に伴なうリモートワーカーの増加で、八ケ岳山麓への移住者や二拠点居住者が急増し、中古物件を中心に品薄傾向が強まったことも物件探しを難航させました。

八ケ岳エリアにたつ売地の看板
不人気エリアに古家発見!
そんな中、いつものように地元の不動産会社のホームページをチェックしていると、新着物件を発見。新車の軽自動車とそれほど変わらない価格の平屋の中古別荘が目に留まりました。
さっそく問い合わせてみると、現在住んでいる借家から車で10分ほどの場所にある管理別荘地の一角と判明。これまでの記憶では、バブル経済の頃に開発され、現在は放置された空き家が目立つ「オワコン」的なイメージの寂れた場所でした。
しかし百聞は一見に如かず、ということでさっそく現地に出掛けてみると、築46年というだけにさすがに建物の古さは否めません。南側のデッキに上がるスロープは朽ちかけていて、軒にはキツツキが空けた穴が目立ちます。敷地内の木も伸び放題で、暗い印象を放っています。
ただ物件の周囲は落葉広葉樹で冬場も比較的明るく、管理別荘地の端の区画で森に面している「すみっこ暮らし」な雰囲気にも好感を持てました。

こじんまりとしたたたずまいの「我が家」
DIYで住みやすく!
平屋の建物は8畳のリビングと6畳と4畳半の畳敷きの和室、それに1畳半ほどのキッチン。他にバス、トイレ、洗面所で構成され、床面積は約45平方メートル。敷地面積は約280平方メートルで、八ケ岳山麓の別荘としてはこじんまりとしたサイズです。
しかし南側には広い屋根付きのデッキがあるため、外観的には実際の床面積よりも広々とした印象を受けました。バス、トイレ、洗面所は数年前にリフォームされ、全体に雨漏りもなく、住もうと思えばとりあえずはすぐに住める状態とのこと。漠然とした用途しか浮かびませんでしたが、東京に住む家族の夏場の避暑利用や自分自身のセカンドハウスなど、フレキシブルに使えそう、と感じました。建物や敷地をDIYで暮らしやすく手直しする楽しみもありそうです。
不動産は水物でスピードが第一。持ち帰って検討していたら、翌日には別の買い手が付いてしまった…。そんな経験もあるだけに、ほぼ即決で購入を決めてしまいました。もちろん身の丈に合った価格が大きく背中を押してくれたことは間違いありません。
「磨けば光る」 原石探しも魅力?
前述したように八ケ岳山麓ではコロナ渦の影響や、首都圏を中心に年々、厳しさを増す夏場の酷暑からの退避といった理由で毎年移住者が増え、中古物件が慢性的に不足しています。このため森を切り開いた宅地開発がここ数年の間で急速なペースで進んでいます。

八ケ岳山ろくで進む宅地開発
しかし移住者や二拠点居住者に人気が高いのは、幹線道路沿いや、古くから別荘地として開発が進んだエリア、有名観光スポット周辺などの一部にとどまっているのが実情。交通の便が悪く、周辺に観光スポットもないものの、バブル経済の勢いで開発され、今は寂れてしまったエリアは、実際にはたくさんあります。
こうした傾向は例えば、富士五湖エリアや伊豆高原、軽井沢、那須高原など、首都圏からの移住や二地域居住先として人気の高い他のエリアでも共通するのではないでしょうか。
今回購入した物件は、八ケ岳山麓では普段、移住や観光面でほとんど話題に上らないエリアにありますが、個人的にはその分、静かな暮らしを楽しめると考えています。建物の修繕や敷地の整備を進めれば、自分らしく身の丈に合った山暮らしを実現できそうです。
不動産業者やマスコミ、インターネット上の情報なども参考にしつつ、自分なりの尺度で「磨けば光る原石」を手に入れる…。田舎の格安物件探しは、そうしたところも醍醐味かもしれません。
昨年の年の瀬にバタバタと始まった森の中の平屋建ての所有。後編ではDIYもなるべく取り入れながら、これから進めていきたいリフォーム作業を具体的に整理してみたいと思います。

人生で初めて手にした土地と建物の契約関係書類