移住や二地域居住への第一歩となる住まい探し。
今回は都会とちょっと違う「田舎の家し」にフォーカスしてみました。
(ライター=渕上健太)

心地よい住環境は、移住や二地域居住の満足度を大きく左右する
中古や賃貸が人気
都会を離れ、気に入った土地でリモートワークなどをしながら移住や二地域居住を楽しむ―。
新たな人生が開けそうで、文字にするだけでワクワクします。
移住や二地域居住を希望する人の間では
「将来もずっとその土地に住むかわからない」
「新築するのは資金的に難しい」
といった理由で、中古や賃貸住宅への根強いニーズがあります。
ただ田舎での物件探しは都会と異なる部分が多く、最初は戸惑う場合も。
例えばまず不思議に感じるのが、地元の不動産屋さんを訪ねても中古や賃貸の物件が少ないこと。
「空き家は多く見かけるのに、紹介してくれる物件はこれだけ!?」。
こうした声はよく聞きます。
背景にあるのが田舎特有の事情。
代表的なものを挙げてみます。
1.空き家を所有していても、それを売ったり貸したりしなくても経済的に困らない
2.見ず知らずのひとに家を売ったり貸したりするのは何となく不安で、地域の目も気になる
3.他人に家を売ったり貸したりする場合、家財道具の処分や室内の清掃が大変
4.家屋が老朽化していて耐震性などに責任を持てない
5.普段は空き家状態でも、お盆やお正月になると遠方の子供が帰省して利用することがある
6.親から古い別荘を相続したが、遠方に住んでいて仕事が忙しく、関心もない
7.所有する空き家に対して、売買や賃貸の需要があることを所有者自身が知らない

まだまだ住める状態の空き家も少なくない
筆者自身の感覚だと、田舎では1~7の要因が複合した空き家が多いと感じています。
「空いている家があったら早めに売るなり貸すなりしてお金に替えよう」。
都市部で一般的なそうした感覚とは異なる事情が、田舎での家探しを難しくしていると感じています。
まずは正攻法
私が暮らす山梨県の八ケ岳山麓の場合、もともと別荘滞在や移住先として人気エリアのため、中古や賃貸の物件数は比較的多めです。
しかし前述したような「不動産市場に乗らない空き家」も多く、さらに需要も多い特徴があります。
特にコロナ渦以降は、価格が1000万円台で、大きな修繕をしなくてもすぐに住める状態の中古物件の人気が以前にも増して高まったと感じます。
八ケ岳山麓以外でも同じような傾向の地域は少なくないのかもしれません。
こうした背景を考えると田舎の物件探しでまず大切になるのが需給マッチングです。
そのためには、なるべく多くのチャンネルにアンテナを広げて物件情報を手に入れるしかありません。
まずは正攻法として地元の不動産屋さんを訪ねましょう。
条件に合う物件が首尾よく見つかれば家探しの問題は解決。
なければ希望条件を伝え、新しい情報が入れば早めに教えてもらうように頼みましょう。
何度か足を運んで顔なじみになると、新しい物件情報が入ると、ネットなどで公開する前に教えてもらえることがあります。
地域に根を下ろしている不動産屋さんは地元のひとたちの動向に詳しいため、こまめにコンタクトを取るのがおすすめです。

まずは地元の不動産屋さんに相談
都市部で暮らす子供が親から相続した別荘を手放す場合などは、都会の不動産会社に仲介を頼む場合もあり
ます。
このため全国規模で物件を掲載している不動産情報のポータルサイトもこまめにチェックしたいものです。
空き家対策に悩む自治体が運営する「空き家バンク」への登録も必須です。
空き家バンクの場合、自治体によっては先着順ではなく、物件所有者が購入希望者や賃貸希望者と面談して、相性や信頼できる人物かどうかを確認してから契約するケースもあります。
大事な口コミ& 公営住宅活用も視野!
不動産市場に乗らない空き家が潜在している田舎では、友人や知人から物件情報を教えてもらうことも少なく
ありません。
「空き家を借りている●さんが今度別の場所に引っ越すから、家を探しているなら紹介するよ」
「●さんが持っている空き家が今度売りに出るらしい」。
そんな情報が寄せられることが時々あります。
そうした交友関係を築くのは実際に暮らしてみないと難しいもの。
そこで仕事や家族の引っ越しなどの問題がクリアされれば「まずはその土地で暮らしてみる」のも一案です。
そうした場合に重宝するのが自治体が運営する公営住宅。
田舎には意外と公営住宅が多く、立地や間取りによっては空き室も目立ちます。
一方、家賃は都市部の賃貸住宅の同じ間取りと比べると半額以下から数分の一に設定されているケースも。
もちろん家の状態が古かったり、「山際で眺望が全然ない」など立地に不満があったりする場合も少なくありません。
また住民票を移す必要があったり、単身者の入居が難しかったり場合もあります。
しかしその土地で暮らして人間関係を築いたり、土地の雰囲気をつかんだりしながらじっくりと家や土地を探すためには利用価値大。
まずは自治体に問い合わせてみましょう。

すぐに入居できる公営住宅は利用価値大
筆者自身も公営住宅の入居経験者。
移住から6年間ほど暮らしました。
庭先で家庭菜園ができなかったり、犬や猫を飼えなかったりする物足りなさはありますが、新しい地域での暮らしと仕事をスタートさせる上で、すぐに入居できる低家賃の公営住宅はとても助かる存在でした。
公営住宅に入居しながら近くに畑を借りて農業をしている人もいます。
また公営住宅に住みながら、土地を買ってセルフビルドで家を建てたツワモノも。
移住を目指すときは、まずは公営住宅の検討もおすすめです。
次回の後編では筆者が実際に経験した「田舎ならではの物件探し」の実例を取り上げます!