「庭に自由を」
フィールドで自分らしく楽しみたい「小屋ライフ」。
その魅力やDIYのコツをプロに聞く連載の後編は、前回に続き「シンプルで美しく、楽しい小屋」をコンセプトにする土耀舎(山梨県北杜市)に、小屋造りの考え方を語ってもらいます。
(写真提供=土耀舎 ライター=渕上健太)
Q 小屋だけではなく、ウッドデッキやデッキに上がるためのスロープ、階段のデザインにもこだわっていますよね
―(吉田)「小屋を手に入れるのが目的だとつまらないと思うんです。
小屋を作って終わりにしたくなくて、その土地全体をトータルで楽しい空間にしたい。
機能性だけではなく、関わる人たち全体が楽しい場所を目指しています。
例えばウッドデッキや、デッキに上がるための階段の踏み板の形を長方形ではなくて曲線にすることも好きです。
でも正直言って四角形の方が作りやすいし、部材の歩留まりも良くて端材も減る。
ただ小屋づくりは遊びの延長だと思っています。
だからこそ『美しくて自由でつまり楽しい小屋』。それを一番に考えて提案しています」

まるい形がかわいい階段
Q 土耀舎では納屋も造っています。小屋と納屋の違いは?
―(吉田)「うちでは窓があると小屋、ない場合を納屋と呼んでいます。
田舎で暮らすといろいろな道具が増えて、それをしまう納屋はとても重宝します。
小屋も納屋も基本的な作り方は同じ。
自分で小屋造りをする前に、まずは小さな納屋を作ってみるのもおすすめです。
『小屋ブーム』ならぬ『納屋ブーム』を起こしたい(笑)」

周辺環境と調和したデザインの納屋
Q 土耀舎の仕事では、小屋のほかに、庭の一角に小さな小山が造られている場合があります。狙いは?
―(吉田)「小屋を作るときには地面の造成や掘っ立ての柱を掘ったりする作業でたくさんの土が出ます。
処分場に持っていけば捨てることができますが、敷地全体でうまく生かせたら楽しい。
そこで庭の一角に土を積み上げてなだらかな小山のようにして、そこに芝生を張ればちょっとした公園のような楽しい空間ができます。
景色に立体感が生まれ、子供の遊び場にもなります。
でも、こうした作業は感覚的なものに頼る部分が大きいので、建築関係の職人さんに『庭に小山を作ってほしい』と相談しても『図面がないとできない』などと言って難色を示されることが多いんです」

小屋造りの作業で出た土を活用した小山
Q 土耀舎が提案する「庭に自由を」というコンセプトを具現化するには、小屋造りを含めて作り手の感性に頼る部分が大きいんですね
―(吉田)「良い空間って数値化できないと思うんです。
でも大手ハウスメーカーは数値化できる部分しかうたうことは難しいのではないでしょうか。
でも例えば窓の配置ひとつでも、現場で一緒に仕事をする妻から『やっぱりこっち側に付けた方がいい』って、図面からの変更をアドバイスされることもあります。
正直、型枠を造った後に変更したりするのは結構大変なんですが(笑)でもそうした現場のライブ感覚を大切にして造った方が絶対、良い空間が生まれるって感じています。
古い建具や古材もなるべく使いたいと考えています。これも美しいから。
窓には妻が制作するガラス継ぎのステンドグラスを使うこともあります。
古いものを大切に使い続けるという内面を大切にしたいと考えています」

古材を柱に使った小屋

土耀舎が制作した窓
Q 小屋造りを頼むのは、どんなひとが多いのでしょうか?
―(吉田)「都市部からの移住者の方が多いです。
用途は仕事部屋だったり、趣味用の小屋だったり、あとは整体師の方がお客さんの施術をするための小屋だったり、母屋とつながる形で小屋を増築して美容室にする方もいたりとさまざま。
ティラピススタジオ用の小屋も造りました。
現場のライブ感覚を生かして一緒に楽しんでくれる方からの依頼が中心です」

母屋に隣接する形で作られた小屋
Q 小屋造りを目指す初心者へのアドバイスを
―(吉田)「小さな小屋だったら失敗しないし、倒れることもない。
そして雨漏りもしない。
もし雨漏りしたら『うわー雨漏りした。どうしよう!』ってバケツでも置いてどうやって直すか考えればいいと思うんです。
子供部屋みたいに小さな小屋だったら法律的な縛りもない。
今はカフェなどの店舗でもビスを打った跡をあえて見せるような、小屋やガレージ風の内装や、そうした自由なリノベーションも増えています。
今は情報が多過ぎて、みんな完璧を求めすぎていると思う。
失敗を恐れずにがんがん、そしてどんどんやったらいいと思います!」
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土耀舎のサイトには、吉田さんが綴った小屋への思いが紹介されています。
庭に自由を
庭に小屋が建つと何をしても楽しい。
雨の日に本を読むのもいいし、仕事の休憩もいいし、
ただただぼーっとするだけでもいい。
一人でもいいし、二人でもいいし、三人でもいい。
コーヒーやホットミルクもいいし、サイダーやビールもいい。
夜はウイスキーが似合う。
すっかり嫌われ者になったタバコだっていい。
ホットドッグだっておにぎりだって、カップラーメンだっていい。
寝袋にくるまればすごく遠くに来た感じがする。
そんな小屋を作りたい。
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子供の頃に戻ったようなワクワクする気持ち。
そして年齢や国籍を問わず、どことなく懐かしさを感じさせてくれるたたずまい。
インタビューを終えて、小屋は日常の暮らしにちょっとした冒険心や気持ちのゆとり、そして心の豊かさをプラスしてくれる存在なのかもしれないと感じました。
取材協力
土耀舎
http://doyosya.net/