前回までの2回シリーズでご紹介した薪ストーブの魅力。
今回は薪ストーブの燃料として欠かせない薪の調達方法を深掘りしたいと思います。
高まる?薪の需要
「薪が不足していて買えなくなるかもしれない…」。
私が暮らす八ケ岳南麓地域で昨年、こんな声を何度か耳にしました。
薪ストーブユーザーが増えて需要と供給が追い付かなくなり、冬に備えて薪を調達できない住民や別荘オーナーが出ているというのです。
実際には「オイルショック」ならぬ「薪ショック」はそれほど深刻ではなかったようですが、薪ストーブユーザーの増加とともに、薪の需給バランスが不安定になっている地域もあるようです。

寒冷地の住まいで人気の薪ストーブ

家庭の薪棚に積み上げられた薪
薪の供給インフラは未整備!?
エネルギーインフラとして供給体制が整っている灯油やガスと違い、薪の製造販売の多くは中小規模の林業会社や個人の薪屋さんが担っています。
薪ストーブ利用者には、田舎での移住生活や二地域居住を楽しむシニア世代も多く、体力的に自分で木を伐って薪を作るのが難しい年齢層が多いのが現状。
一方、原料となる丸太の供給は、山での伐採量に左右されるため、薪の供給は需要増加に応えにくい側面があります。
薪の価格は樹種により異なりますが、長さ40センチ程度に割られた薪の場合、軽トラック一台分で2万~2万5000円程度が一般的のようです。
一方、薪を買わずに手作りするひともいます。
自分の敷地の木を伐採したり、薪用の丸太を購入したりした後、チェーンソーで玉切りし、その後にオノや薪割り機で割っていきます。
手作りのメリットには買うよりも安価、薪作りの作業自体を楽しめる、身の回りの木を無駄なく活用できる、身体を動かすので運動になる、などが挙げられます。

薪用に玉切りされた丸太(撮影協力=合同会社TREANT)
完成品を購入
市販の薪を使う場合、地域の林業会社や森林組合、個人の製造販売業者などから購入することになります。
すぐに燃やせるように、割った後に半年から一年程度、乾燥させてあるのが一般的です。
ホームセンターでも販売されていますが、針金などで直径30センチほどの束にまとめた少量販売が中心。
一冬分の暖房に使う量を購入すると、かなり高額になってしまいます。
専門業者などからまとめて買う方が断然お得です。

専門業者による薪の配達作業(撮影協力=合同会社TREANT)
手作りの楽しみも♪
一方、手作りする場合、まずは丸太の調達が必要です。
入手方法はさまざまですが、一般的なのが①~⑥の方法です。
① 家の周りにある倒木を活用
② 知り合いなどが伐採した丸太や枝を譲り受ける
③ 地域の製材所や工務店などから端材を譲り受ける
④ 地域の林業会社などから2~3メートルほどの長さの薪用の原木丸太を購入し、トラックで自宅に配送してもらう
⑤ 仲間と共同で地域の森の木を伐採させてもらう
⑥ 国土交通省などが実施する河川敷内の支障木伐採工事で出た丸太の無償頒布会に参加する
実際には多くの薪ストーブユーザーが、こうした中から、複数の方法を組み合わせているようです。

国土交通省などが全国の河川敷で行っている支障木伐採工事で出た不要丸太
住民向けの無償頒布会が各地で開かれ、人気を集めている

工務店や製材所から出た端材も薪になる
何でも燃える?!
日本の薪ストーブユーザーの中には、コナラやミズナラ、クヌギといった火持ちの良い一部の広葉樹しか薪として使えないと思い込んでいるひともいます。
たしかにこうした広葉樹は、比重が重く、一度着火すると長時間燃えてくれる火持ちの良さが特徴。薪として優れています。
ただ日本各地に植林されていて、間伐材などが豊富に出回っているスギやヒノキ、カラマツ、アカマツといった針葉樹も十分に薪として使えます。
火持ちの面ではナラ類に劣りますが、比較的、着火させやすく、朝の起床時などに素早く部屋の中やストーブの炉内を暖めたいときには便利。
割られた薪や原木を購入する場合もナラ類よりも安価な場合が多いのも魅力です。
マツ類は油分が多いため、燃やしたときのススが出やすい特徴がありますが、燃やす前に十分に乾燥させてススの原因となるタール分などを揮発させることで、煙突にススがたまるのを防ぐことができます。
実際、アカマツやカラマツといった針葉樹の薪を専門に扱う薪製造販売会社もあり、地域によっては多くの薪ストーブユーザーが利用しています。
ナラ類に関しては西日本を中心にナラ枯れ病が蔓延し、関東地方などにも広がっています。
今後、ナラ類を使った薪の入手が難しくなる可能性も考えると、各地に豊富に生えているスギなどの針葉樹を積極的に活用してきたいものです。
また繁殖力が極めて強く、各地に分布を広げている特定外来生物「ニセアカシア」などの外来樹木の薪利用も今後広がっていきそうです。

伐採されたアカマツの大木
各地に豊富に生える針葉樹を積極活用したい
次回の続編では自分でチャレンジする薪づくりを取り上げます!