暮らしを豊かに
八ケ岳南麓に移住した元ITエンジニアで「DIYの達人」の異名を持つ伊藤輝樹さん(47)に聞く「DIYのコツ」。
前編の「基本の道具」に続く後編では、暮らしを豊かにするDIY技術について、初心者でも実践できるアイデアや裏技を教えてもらいます。
山梨県北杜市の別荘地の一角にある伊藤さんの自宅を訪ねて驚かされるのは、玄関から居間、台所、トイレに至るまで、いたるところにDIYが施されていること。

さまざまな場所にDIYが施された伊藤さんの自宅
扉は「吊り引き戸」がおすすめ
最初に迎えてくれるのが玄関にある大型の靴箱。
てっきり作り付けと思いましたが、実は現在の自宅を中古で購入した後に自作したというから驚き。
30足は入りそうな大型ですが、玄関や窓のサイズにぴったりとマッチしています。

玄関サイズにぴったりとマッチした大型の靴箱
特筆すべきが引き戸のつくり。
軽いタッチでスムーズに左右に開閉できて「プロ仕様」を感じさせます。
これは「吊り引き戸レール」と呼ばれる市販の金具を使って引き戸全体を上から吊り上げている構造とのこと。
「上下の溝にはめ込む通常の引き戸よりも施工が簡単で、構造がシンプルです。
軽い力で開け閉めできるのも特徴です」と伊藤さん。
庭に手作りしたパーゴラにもアクセントのために「吊り引き戸レール」を使った引き戸を設けています。
引き戸を開け閉めするために指を当てる部分はジグソーを使って丸くくり抜いたシンプルなつくり。
実用性に加えて外観的なアクセントにもなっています。
ローテーブルはキャスターで移動可能
カーペットが敷かれた居間の中央に置かれているのが自作のキャスター付きのローテーブル。
これが文字通り「伊藤家の食卓」になっています。
キャスター付きのローテーブルは初めて見ましたが、これが掃除のときなどにコロコロと動かせて意外と使いやすそう。
天板には勤務先の林業会社で伐採したクリの木が使われています。
この天板は固定されておらず置かれているだけ。
しかし無垢の一枚板だけあって、天板自体に厚みと重みがあるのでとても安定しています。

収納ボックスを兼ねたキャスター付きのローテーブル
天板の下は引き出し式の収納ボックスになっており、食器などの収納に便利そう。
「収納ボックスは手前と奥のどちらからでも引き出せるのがポイントです。向かい合って座ったどちらのひとも引き出せるように工夫しました」と伊藤さん。
自由に移動できるキャスターや取り外せる天板を含めて「フレキシブル」が伊藤さんのコンセプトのようです。
ローテーブルを手作りするのは難易度が高そうですが、既存のローテーブルに小さなキャスターを付けると便利かもしれないと思いました。
簡単施工の「棚」を増設
家の中をすっきりと見せるために重要なのが収納。
伊藤さんがお勧めするのが、ビスなどで壁に打ち込んだ左右二本の桟木(さんぎ)の上に天板となる木の板を載せるだけのシンプルな棚です。
ホームセンターなどで販売されている伸縮式の「突っ張り棚」を手作りしたイメージでしょうか。

トイレや洗面スペースなど狭い場所で重宝する手作りの棚
「取り外しも簡単で、棚の高さも自由に設定でき、天井の高さによっては二段、三段と重ねることができます」と伊藤さん。
伊藤家ではトイレや脱衣場などに棚を増設し、日用品の収納などに活用しています。
市販の突っ張り棚はプラスチック製がほとんどですが、手作りの棚は木製なので温かみを感じられ、桟木で支えられているため強度面も安心。
天板はホームセンターで販売されているコンパネ(構造用合板)などが使用可能で、自宅に合ったサイズにカットするときには、前編で紹介した伊藤さんおすすめの電動工具「レシプロソー」を使うと便利そうです。
裏技&や役立つ小物も!
自分でイメージした「作りたいもの」を次々と形に生み出して暮らしを彩る伊藤さん。
モノづくりに取り掛かる前に描く「設計図」では「表計算ソフトのエクセルを方眼紙として使うのがお勧めです」と教えてくれました。
セルの設定を正方形にするとエクセルが方眼紙に早変わり。
「自由に拡大や縮小ができて使いやすいです」と伊藤さん。
セルを正方形にそろえる方法はネットで紹介されており、ぜひ真似したいテクニックです。

伊藤さんがエクセルで作った「折り畳み椅子」の設計図
木工系のDIYではホームセンターなどで入手しやすいツーバイフォー材を使うことが多いと思いますが、そのときに便利な専用の定規も教えてくれました。
材に当てるだけで中心の位置などが分かり、ビス止めをする位置が正確に決まる優れモノ。
ホームセンターやネットなどで販売されているそうです。

ビス留めなどに便利なツーバイフォー材用の定規
ビス留め以外にも、さまざまな素材を固定する場面で欠かせないのが接着剤。
いろいろな種類が販売されていて迷いますが、接着力が高く、屋外でも使用できる耐水性があり、サンディング(やすり掛け)にも対応した「タイトボンドⅢ」がプロ向けで使いやすいと教えてくれました。

伊藤さんお勧めのプロ用接着剤
作業場と作業台も重要!
DIY作業で大切なのが木材を加工したり道具を置いたりする作業場。
伊藤さんは都内のマンションに住んでいた頃も八畳の和室に作業台や電動工具を並べて作業スペースにしていたそうです。
現在も自宅の六畳の和室が伊藤さんの作業部屋。
電動工具が所狭しと置かれています。
「自宅の庭にガレージを建てられたらベストですが、なかなかそうもいかないのが現実です」と伊藤さん。
作業部屋にはDIY用の作業台が置かれています。
天板の高さを調節でき、木材などを固定するクランプがついている市販品で「材料の切断や研磨にはしっかりと固定できる作業台を使うと精度が高まり、作業効率も上がります。
材料をしっかりと固定することが安全作業のためにも大切です」とアドバイスしてくれました。
自宅の一室でも作業台を置けばDIYスペースに早変わり。
カッコいい作業台を置けば気分も上がりそうです。

多目的に使えるDIY用の作業台
まだまだ紹介しきれない伊藤さんのDIY術。
クルマに写真にコーヒーにPC関係などなどDIY以外にもさまざまな趣味を持つ伊藤さんの日常をつづったブログ
「伊藤輝樹 blog」(https://hobby.mydns.jp/teruki.wp/)
もぜひご覧ください!