達人に聞く「DIYのコツ!」 前編

基本の道具をそろえよう

田舎暮らしに関心を持つ人にとって「やってみたいこと」の上位にランクインするのがDIY作業。

今回は、DIYの達人に聞いたおすすめの道具や役立つテクニックを二回に分けてご紹介します。

 

 お話を聞いた伊藤輝樹さん(47)は、半導体の回路設計の仕事に21年間携わった経験をもつITエンジニア。

3年前に夫婦で山梨県北杜市にIターン移住し、現在は地元の林業会社で樹木の伐採や重機操作といった仕事を担当しています。

 田舎ではDIYが得意なひとは珍しくありませんが、伊藤さんのすごいところは、家具作りなどの木材加工はもちろん、電気関係の修理や刈払機などのエンジン系のオーバーホールまで守備範囲が広いこと。

職場では仕事で使う道具の修理や改良を引き受け、「伊藤製作所」の愛称で同僚たちに頼られています。

自宅の作業部屋を紹介する伊藤さん

 

「基本」のドリルドライバー!

 今回はそんな伊藤さんに、まずはDIY初心者におすすめする「基本の電動工具」を教えてもらいました。

伊藤さんは「ビス(木ねじ)を木材などに打ち込むためのドリルドライバーは、最初に揃えると役立ちます」と話します。

ツーバイ材で作った部材をビスで接合して組み立てたり、木材に穴を開けたりする作業はDIYでは不可欠。

ドリルドライバーは「ビット」と呼ばれる先端工具を交換すると、電動ドライバーから穴あけ用の電動ドリルに早変わりするのが特徴です。

伊藤さんは「ビットを『チャック』と呼ばれる部分でしっかりとつかんで固定するため、ビット部分のブレが無く、繊細な穴あけやネジ締め作業に適しています。

締め付けトルクの調節も可能で、材の堅さに応じてトルク調整することで締めすぎによるビスの破損、材の変形や割れを防ぐことができます」と話します。

シンプルで汎用性が高いドリルドライバー

 

 ドライバドリルによく似た道具として、ドライバーの先端に打撃を加えて、ビスを部材に打ち込みやすくする「インパクトドライバー」があります。

建築現場などでプロの大工さんが「ガガガッ」と大きな音を出しながら、カッコよく次々と壁などにねじを打ち込んでいる光景を見た人もいると思います。

こうした場所で使われているのがインパクトドライバーです。

 

 伊藤さんは「パワーが必要な長いビス打ちの作業の場合、ドリルドライバーだとパワー不足を感じることがあります。

こうした場合や大量のビスを手早く打ち込みたい木工工作などにはインパクトドライバーが向きます。

ただビットの固定方法が差し込み式のため多少のビットブレがあり、繊細な穴開け作業や、小さなネジ締めにはあまり向きません。

初めてそろえるならまずは、利用範囲の広いドリルドライバーがおすすめです」とアドバイスします。

 

シンプルなコード式がおすすめ

 次に悩むのが電源のタイプ。

電動工具にはコンセントから電源を取るコード式と、充電池を使うバッテリー式があります。

近年、家電を含めてバッテリー式製品が次々に登場する中、見た目もスマートなバッテリー式の電動工具にカッコよさを感じてしまいます。

 

 伊藤さんは「家の中など使う場所が決まっている場合はパワーが安定していて力強いコード式がおすすめです。

バッテリー式は場所を選ばずに使える便利さはありますが、運転時間の制限があるほか、リチウムイオン電池の場合は、満充電状態で保管すると電池が劣化しやすいなど管理に気を使う面もあります」と話します。

価格的にもバッテリー式よりコード式の方がお手頃なので、まずはコード式を揃えても良さそうです。

電池の保管に注意が必要なバッテリー式の電動工具

 

 一方、アウトドアではバッテリー式が便利。

伊藤さんはバッテリー式を選ぶ際の注意点として「バッテリーは、付け替えれば同じメーカーの他のバッテリー式工具にも使える場合が多いです。

ただ基本的に他のメーカーの工具には取り付けできません。

最初にどのメーカーのどんなタイプのバッテリーを選ぶかで、その後の工具選びにも影響するので注意が必要です」と教えてくれました。

 

丸ノコ ひと工夫で使いやすく!

 ほかにも金属の研磨や切断を行う「グラインダー」や木材や合板の切断に使う「丸ノコ」もあると作業の幅が広がるといいます。

 丸ノコは超硬素材のチップが埋め込まれた円盤型の刃を高速回転させて木材を切断する電動工具。

ただ誤って指を切ってしまったりする怪我が少なくありません。

伊藤さんは丸ノコを安全に使うための裏技として「床の断熱材などに使う発泡断熱材のスタイロフォームを下に敷いて使います。

こうすることで切断時の木材の暴れを防ぎ、切りやすく安全性が高まります。

「この場合、スタイロフォームも少しだけ一緒に切るようにして材を切断します」とアドバイス。

スタイロフォームは畳一枚分ほどの大きさで5センチ程の厚みがあり、適度に柔らかいので丸ノコの刃が入っても跳ね返りがなく安全。

安定した体勢で木材を切断できるといいます。

スタイロフォームの上に木材を置いた丸ノコ作業

真っすぐに切れるように手作りの治具を添えている

 

多目的なレシプロソーもオススメ!

伊藤さんのおすすめが電動ノコギリの「レシプロソー」

「刃先を交換することで鉄や木、塩ビパイプなどさまざまな素材を切断できます。同じ切断系の電動工具でも、切り屑も少なく、丸ノコのようにキックバックによる怪我の危険が少ない点も特徴です」と話します。

使い方を工夫すれば合板のカットもできるほか「粗大ごみの解体や庭木の剪定に使っている人もいます」(伊藤さん)。

一台あるとさまざまな場面で活躍してくれそうです。

替刃の種類が豊富で多用途に使えるレシプロソー

 

一台多役の機種も!

 ほかにも便利な道具として、ヘッド部のアタッチメントを交換するとさまざまな用途に使えるマルチタイプのバッテリー式電動工具を教えてくれました。

「ブラック・アンド・デッカー」」というブランドのシリーズ製品で、インパクトドリルドライバーはもちろん、「丸ノコ」や木工の曲線切りに対応する「ジグソー」「レシプロソー」などさまざまなアタッチメントがそろっています。

複数のアタッチメントが付いたセット商品もあり、伊藤さんは「一台ずつそろえるよりもお得なので、まずはこうした道具でDIY作業に慣れてから、本格的なプロ用機種をそろえていく方法もあります」とアドバイスしてくれました。

アタッチメントを取り替えるだけでマルチに使える製品

 

 自分自身は中古の電動工具をネットフリマなどで探して少しずつ買いそろえていましたが、伊藤さんの話を聞いて「マルチタイプの方が良かったかも…」と少し後悔しました…。

 

 次回の後編ではおすすめのDIY技術や裏技を伊藤さんに紹介してもらいます!



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