意外と使いにくい?「焚き火台」
自分のフィールドを手に入れたら、気が向いたときにいつでも焚き火ができるように、敷地の一角にお気に入りの「焚き火スペース」をつくりたいものです。
今や焚き火の必需品になった感のある「焚き火台」は、大きさやデザインなど、いろいろな種類が販売されています。
ただ焚き火台を使うと燃やす薪のサイズが限定されてしまうのが玉にキズ。
安定性に欠け、本格的な調理に向かないものも少なくありません。
「直火禁止」のキャンプ場などで「小さな炎を眺めて楽しむ」には向いていますが、大きな鍋を載せて調理をしたり、森の中で拾ってきた大きな薪を燃やしたりするには意外と使いにくいもの。
折り畳みタイプが中心なので、フィールドに置いて年中風雨にさらしておくと、耐久性も心配です。
今回は自家調達した不揃いの薪でも手軽に楽しめて、火災などの心配が比較的少ない方法を紹介します。
U字溝を活用!①
簡単に始められて意外と実用性が高いのが土木資材のU字溝を使う焚き火。
地方のホームセンターなどでは、さまざまな規格のU字溝が数千円で販売されています。
フィールドに「デンッ」と置くだけで、丈夫なかまどに早変わりする手軽さとコスパが魅力です。
さらにメンテナンス性も良好。使い終わったら燃え残りの炭をかき出してしまえば、それで掃除完了です。
U字溝を使うときのポイントのひとつがサイズ選び。
大きすぎると内部の空間が広すぎて、調理をしたり暖を取ったりするためには大量の薪が必要になります。
その場合、内部に耐火レンガを敷き並べると炉内の空間を調整できて便利です。
もう一つが上に載せる網の選択。
ホームセンターなどで売られている安価な焼き網を使うと、ダッジオーブンなどの思い鍋を載せたときに変形する恐れがあります。
使い捨て感覚の安価な焼き網ではなく、できれば長く使えるステンレス製のしっかりとした焼き網やゴトク、ロストルを選びたいもの。
ちなみに私自身は、知人からもらった鉄製のペットゲージの網を分解して、大きめの万能網として使っています。
U字溝は、その細長い形状ゆえ「前編」で紹介した「一方通行焚き火」と相性抜群。
火勢が強まり、炉の中に「オキ」ができてきたら、太枝を突っ込んでじっくりと燃やしていきましょう。

シンプルで丈夫なU字溝かまど 丈夫な網やゴトクを載せたい
U字溝を活用② 意外なデメリットも?!
U字溝はコンクリート製のため、安定性が抜群、丈夫なゴトクと組み合わせれば、重いダッジオーブンや大きな中華鍋なども安心して載せられます。
横長なので「火力が弱い端の方にヤカンを置いてコーヒーをわかしておこう…」などと思い思いの使い方ができます。
ただ上面を除くと開口部が左右二箇所しかありません。
このため寒い季節に大人数で囲む場合、側面にいるひとは意外と寒い思いをすることがあります。
U字溝自体も熱くはなりますが、炎の熱が直接届かない側面側では足元を中心に意外と暖かさが伝わりにくいのです。
また高温になったU字溝に水を掛けるのは禁物。
急激な冷却でコンクリートが割れる危険性があります。
消火するときは火が自然に消えて炉が冷めるのを待つか、内部の燃え残りの炭をかき出して、火消しつぼなどに入れるようにします。

炉の内部に耐火レンガを置くと火力を調整でき薪の節約にもなる
「無煙炭化器」は万能選手!
フィールドを手に入れたら、あると便利なもう一つの焚き火グッズが「無煙炭化器」。
もともとは、果樹のせん定枝や竹林整備で伐り出したタケといった大量の木材を効率よく燃やして、土壌改良用の炭をつくるための道具です。
特徴はとにかくよく燃えること。
製品自体は、厚手のステンレス板をすり鉢(ドーナツ)形に成形したものですが、空気が対流することで二次燃焼を促し、完全燃焼に近付きます。
無煙炭化器は片手で持ち運べるほど軽いため、自宅の敷地や畑、森の中などに「ポンッ」と置くだけでかまどが完成し、そこで焚き火ができるのが魅力。直火ですがステンレス製の枠で覆われている中での焚き火になるので、家屋への延焼や山火事といった心配が比較的少ないのも特徴です。
どちらかというと調理向けのU字溝に対して、円型の無煙炭化器は大人数で囲むのにぴったりの作り。
もちろん、大きめの網やゴトクなどを載せれば調理にも活躍します。
燃焼機器メーカーのモキ製作所が製造し、サイズは3種類。
価格は開口部の直径が約56センチの最も小さなもので2万7000円程です。
一度買えば一生モノの丈夫な作りですが、一斗缶やペール缶を加工して自作しているひともいるので、DIYで自作しても面白そうです。
燃え残った炭は土壌改良資材として畑や庭にまくことができます。
大人数で囲むのにぴったりの無煙炭化器
庭に置くと不用な枝葉の焼却にも便利
調理グッズおススメは「寸胴」&「縦長」
焚き火料理の代表選手がダッジオーブン。
雰囲気はもちろん、遠赤外線効果でじっくりと火を通したお肉や野菜の味は格別です。
一方、昔ながらの日本の焚き火調理器具である「飯ごう」は、ご飯の炊きやすではピカイチ。
深型で容量がたっぷりしているため、スープなどの汁物の調理やお湯をわかす用途にも意外と向いています。
焚き火調理器具の代表格としては、百年以上の歴史を有したと言われるイギリス製「ホットン」ブランドの鍋である「ビリーケトル(通称・ビリー缶)」が日本でも親しまれていました。
しかし現在は倒産してしまったとのことで残念…。
ネットで中古品や新古品が出回っていますが、驚くほどの高値で取引されています。
ただ類似品も販売されているので、ブランドにこだわらなければ十分使用できるでしょう(どうせ焚き火で使うとすぐに真っ黒になります)。

オーソドックスな飯ごう(右)と中サイズのビリー缶(中央)
パーコレーター(左)
飯ごうやビリー缶に共通している特徴が「ふたが合わせ構造でしっかりとしまる」「深めの寸胴型の形」「ふたの持ち手などに熱で溶けるプラスチックが使われていない」「火に吊り下げるための金具がついている」という4点。
キッチンと異なり、完全に水平な場所が少ない屋外での調理では、多少傾いても中身がこぼれない深めの寸胴型で、さらにふたがきっちりと閉まる形が役立ちます。
またこうした形は、狭いゴトクの上にいくつも載せられるメリットがあるほか、燃えている薪のすき間や「オキ」の上に直接置いて調理する場合にも中身がこぼれにくく重宝します。
コーヒーを入れる「パーコレーター」も基本的に同じつくりをしています。
無骨で頑丈な業務用のアルミ製寸胴鍋も意外と焚き火向き。
秋に向けて人数が集まったら焚き火の上に載せた寸胴鍋を囲んでにぎやかな「芋煮会」も楽しそうです。

焚き火料理で意外と活躍する丈夫な寸胴鍋
消火は完全に!
空気が乾燥する秋から春に向けて特に気を付けたいのが火の不始末による火災。
火を燃やしたまま外出したり、夕食後、完全に消火しないまま寝てしまったりするのは危険です。
風が強い日はとくに注意。
「庭先にU字溝を置いて焚き火をしながら煮込み料理中、家の中に戻って家事をして庭に戻ったら、強風にあおられた火が近くの木製ベンチに燃え移っていた」。
これは自分自身の失敗談…。
気付くのが遅ければ家に延焼していた恐れがありました。
隣家との距離が近い別荘地では煙の流れにも気を付けたいもの。
無用なご近所トラブルを避けるため、風向きによっては焚き火を取りやめた方が無難な場合もあります。
森や林の中での焚き火では山火事に注意が必要。
消火用の水が乏しい、雨不足で山や森自体が乾燥している、風が強いといった場合は、焚き火を控えるか、焚き火台などを使って「小さな焚き火」を楽しむのが賢明です。
逆に石ころだらけの河原で流木を集めて燃やしたり、スノーキャンプで雪の中で火を起こしたりする場合は、周囲に延焼する危険は少なくなります。
フィールドの気象条件などに応じて条件が大きく変化する焚き火。
スキルを磨いていろいろなシチュエーションで安全に楽しみましょう!

住宅や山林などへの延焼に十分注意したい