楽しみ方いろいろ! 焚き火の自由形 前編

厳しい暑さも少しずつ和らぎ始め、日没も段々と早まるこの時季。

 

焚き火を囲むのが楽しいシーズンを迎えます。

今回は手軽に楽しめるフィールドで役立つ焚き火術を取り上げます。

 

隆盛な「焚き火市場」

「男の焚き火術」「アウトドアで役立つ 完全焚き火マニュアル」…。

 

昨今のキャンプブームを受けて、そんなタイトルの本を多く見かけるようになりました。

さまざまな形の焚き火台や、薪をくべるときに使う革手袋、空気を送り込む火吹き棒など、ネットやホームセンターには焚き火グッズがあふれています。

キャンプ場などに持っていく薪や焚き付けのネット販売も盛んで「焚き火関連市場」はかなりの規模になりそうです。

 

しかし火を燃やして調理をしたり、暖を取ったりする行為自体は太古から行われてきたもの。

田舎に住む70歳代ぐらいのシニア世代と話をすると「子供の頃は薪で炊いたお風呂に入っていた」という声を今でもよく聞きます。

 

お風呂に限らず、かまどでの炊飯や掘りコタツ、落ち葉たきなど、火を燃やす行為が暮らしのあちこちに存在していたのは、遠い昔のことではありません。

先人にならいもっと気軽に焚き火を囲みたいものです。

秋の夜長を楽しむのにぴったりの焚き火(撮影協力・週末冒険会)

 

焚き火のススメ① 薪は現地調達が楽しい!

マニュアルや格好から入りたがるのが好きな日本人(自分もその一人ですが…)。

 

しかし焚き火に関しては

「この薪を使わなければいけない」

「火を付ける順序をマスターしないと」

などと難しく考える必要はありません。

薪のサイズや乾燥状態などに気を使う薪ストーブよりもはるかに自由度が高いのが焚き火の魅力です。 

 

ただ強調したいのが「薪は現地調達が楽しい」という事実。

地方に出掛けるとホームセンターやキャンプ場などできれいに割られた薪が販売されています。

でも現地に着いてからみんなで薪を探すのも大きな楽しみのひとつ。

 

キャンプ場や別荘地などから一歩、林や森の中に入れば、地面に倒れた小さな枯れ木や枯れ枝、落ち葉、河原なら流木などがほとんど無限にあります。

 

山や森の中に入って薪を集めてくるのは、それ自体が狩猟採集本能を刺激してくれるアクティビティ。

薪のストックができると自然と安心感が芽生えます。

そして自分で見つけた薪で火を起こす充実感は、自分で釣った魚を食べる満足感とも重なる部分があります。

 

木によって燃えやすさや火持ちはさまざまですが、湿っていると燃えにくく、煙が出やすいので、なるべく乾いたものがおすすめ。

日が暮れた後に薪が足りなくなって後から拾いに行くのは意外と大変なので、多過ぎるかも…と思うくらいにたくさん集めておくとよいでしょう。

 

「勝手に薪を拾うと怒られるのでは」などと心配する向きもあるかもしれませんが、日本の里山や人工林のほとんどが手入れ不足で荒れ放題。

枝打ちして林内に放置されたヒノキの枝や、伐採現場に残された枝葉などは林業界では「ゴミ」と呼ばれ、邪魔者扱いされています。

無断で立木を伐採するのは問題ですが、節度を持って薪拾いをすることに文句を言うひとはまずいないでしょう。

 

薪集めのときには両端を結んで輪のようにした短めのロープがあると便利。

集めた枝葉や丸太の端を二重になったロープでまとめて絞り込み、地面を引きずりながら歩くと、たくさんの薪を一度に集めてくることができます。

薪集めには、ループ状に結んだロープがあると便利

 

焚き火のススメ② 薪作りには断然ノコギリ!

SNS映えする焚き火グッズの代表格が薪割り用のアックス(手オノ)や大型ナイフ。

 

ただ拾った薪で楽しむ「ズボラ焚き火」では、ホームセンターなどで3000円程度で購入できる枝打ち用のノコギリが重宝します。

 

拾った枝や流木などは長さや太さがさまざま。

これを40センチ程度に切り揃えることで、使いやすい薪に変身します。

このときに欠かせないのがノコギリ。

「枝打ち用」や「山林用」と表示されたタイプは刃先の形状が「粗目」で、枝や細い丸太をザクザクと切ることができます。

拾った薪は太さがさまざまなので、わざわざオノなどで割らなくても、焚き付け用の小枝から長時間燃焼用の極太サイズまで、切りそろえるだけで準備できます。

薪作りに役立つ山林用のノコギリ(上)。ナタ(下)も一つあると重宝する

 

焚き火のススメ③ 着火剤も現地調達!

乾燥している薪は簡単に燃えますが湿っていると着火にひと苦労します。そこで用意しておきたいのが焚き付けや着火剤。

 

さまざまな種類の商品が販売されていますが、できれば自分で採取したいもの。

 

紙状にはがれるシラカバの樹皮は油分が多く、とてもよく燃えます。

ほかにスギやモミの枯れ葉、乾燥した松ぼっくりも燃えやすく、焚き付けとして優秀です。

フィールドでそうしたものを見つけたときには次回の焚き火に備えて少し集めておくと役立ちます。

 

松脂(まつやに)を多く含む「ファットウッド」も近年話題になっている着火剤のひとつ。

アカマツの枝の根元などに多く、ノコギリで伐り出した後、ナイフで削って作ります。

自分の敷地などでアカマツを伐採したときには、ブッシュクラフト感覚で「ファットウッド」を作ってみても面白そうです。

 

牛乳パックやガムテープも昔から使われてきた着火剤ですが、石油化学製品が使われているので、極力使用を控えたいものです。

焚き付けの代表格の樹皮や落ち葉(写真はヒノキのもの)

 

焚き火のススメ④ 燃やし方の基本は「一方通行」

 焚き火をテーマにした本にはいろいろな焚き火の方法が紹介されていますが、今回紹介するのは誰でもチャレンジできて失敗が少ない「一方通行焚き火」。

 

風が吹いている向きに沿って、「着火剤→焚き付け→細枝→中枝→太枝」の順番で、平行に薪を重ね入れながら燃やしていきます。

風向きに沿って平行に薪を並べていくことで、燃焼に欠かせない酸素が炉の中に供給されやすく、効率的に火を起こせます。

薪の向きが揃っているため、後編で取り上げる「焚き火料理」をするときには、ダッジオーブンやフライパンといった調理器具を燃えている薪の上に乗せやすくなります。

 

ポイントは「仕込み」と「焦らないこと」の二つ。

 

「着火剤、焚き付け」から「細枝、中枝、太枝」まで、それぞれのステージで必要となる薪をあらかじめ用意してから着火するようにします。

用意が中途半端だと、「細枝までは順調に燃え移ってくれたのに、中枝を探している間にせっかく起きた火が消えてしまった…」などという失敗につながりかねません。

 

焦りも禁物。

細枝に燃え移った後にいきなり太枝を入れたりすると、火が消えてしまうことがあります。

火吹き棒やうちわで風を送りながら、小さな火種をゆっくり大きく育てるような気持ちで燃やすのが成功のコツです。

 

とくに薪が湿っていると太枝に燃え移って火が安定するまでに時間が掛かります。

小枝や中枝を多めに用意して少しずつ火を大きくしていきましょう。

風向きに沿って、薪をそろえて入れていく「一方通行焚き火」

 

調理や暖を取るのはもちろん、千変万化する炎は眺めていて見飽きず、夜の庭やキャンプ場で最高のエンターテイメントになります。

 

次回の後編では、さまざまなフィールドで役立つ焚き火台やかまど、調理グッズなどを紹介します!

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