不動産を初めて売る人/買う人にとって、不動産のどんなところをチェックしたらいいのか見当がつかず、漠然とした不安や恐怖があるという方も多いはずです。
そこで、ここでは不動産取引の際に、プロも特に気にしてチェックしている6つの項目をご紹介します。
これに沿ってチェックしていけば、不動産知識が無くてもトラブルリスクや不安を効果的に抑えることが出来ます。
① 道路
「土地を買うのに、どうして道路が重要なの!?」と思うかもしれませんが、実は道路が一番見落としがちで、重要なポイントの一つです。
なぜならば、「通行できる権利のある道路に接していなければ、所有地に行けない」ことになってしまうからです。
売買対象の土地は、必ずしも道路に面しているとは限りません。
例えば山林であれば、道なき道を進んだ先の一角が対象地というケースが多々あります。
厳密には「道なき道=他人の敷地」であるため、その所有者に無断で ”他人の敷地に侵入している” ことになってしまうのです。
また、対象地の前にアスファルトで舗装された道路があったとしても、それで安心とは言い切れません。
例えば、その道路が他人所有の私道で、もしその道路所有者から「通行禁止」と制限をかけられてしまえば、やはり対象地まで行くことは出来なくなってしまいます。
せっかく素晴らしい土地を持っていても、通行を阻まれてその土地まで行けなくなってしまったら元も子もありません。
このような悲しい結果にならないように、対象地までの道路を誰が所有していて、通行する権利があるかを慎重に確認しておくことが非常に重要です。
ちなみに、国・都道府県・市区町村が所有している『公道』は、誰でも自由に行き来できる道路ですので、具体的には「公道から対象地までの間の私道」を特に念入りに調べることになります。

② 境界
対象地の敷地範囲を明確にする意味で、境界は非常に重要です。
とはいえ、「境界=自分と隣地所有者との境」であるため、境界位置について隣人と認識のズレがあったり、そもそも境界位置が全く決まっていないような場合は、深刻な境界トラブルにも発展しかねません。
通常、このような境界トラブルが生まれないように、以下のような手続きを踏みます。
・測量士(土地家屋調査士)に依頼して、境界を確定
・直接、隣人と一緒に境界位置を確認して、境界を確定
遊休地においても、本来はこのような形で境界を決めておけばパーフェクトです。
しかし、測量士に依頼するのに数十万円単位で費用がかかることや、特に山林などでは隣地所有者が遠方にいて境界確認が進まなかったり、連絡先が分からず境界の決めようがないケースも多く、世の中には、境界がきちんと決まっていない土地の方が圧倒的におおくあることが事実です。
そこで、現実的に境界を決めるには、以下を注意しておくと良いでしょう。
・前所有者が認識している情報で、敷地範囲を把握
・法務局の公図や市町村役場の地番図で、敷地範囲を推定
まずは、上記にて暫定的な敷地境界を定めて、将来的に隣人と協議できる機会が訪れたら、正式に境界位置を定めるのがよいでしょう。

③ 管理状態
敷地の管理状態の把握も非常に重要です。
例えば、想定しやすいケースでは以下のような例があります。
・敷地内にある傾斜部分で、軽度の土砂崩れが起きた跡があった。⇒ 将来、大規模な土砂災害が生じるリスク
・木の管理がされず伸び放題で、いつ倒木してもおかしくない状態だった。⇒ 倒木が、近隣の建物や通行人を負傷させるリスク
・敷地内に、不法投棄のゴミが散乱していた。⇒ 不法投棄を誘発するリスク
・空き家の屋根瓦が数枚、庭に落ちていた。⇒ 新たに劣化した屋根瓦が、近隣の建物や通行人を負傷させるリスク
上記のような、補修や整備が必要そうな箇所を放置していると、将来、大きな損害を生んでしまう恐れがあります。
但し、こういった状態があったからといって、直ちにそれを補修・整備できるかというと、資金面の問題や、近隣住民から賛同を得られない等、様々な事情ですぐに対処できない場合も少なくありません。
そのため、補修・整備すべき全箇所を直ちに無くすことをゴールにするよりは、まずはどんな対処が出来るかを整理することを主眼に置いて、緊急度・優先度の高い部分や、着手しやすい部分から一つ一つ対処していく方針がベターです。
なお、特に防災・衛生的な対処については、自治体で補助金を用意している場合もありますので、そういった活用も視野に検討していくと良いでしょう。

④ ライフライン
ライフラインとは、電気、水・下水、ガス等の、まさに ”生命線” になる設備を指します。
特に移住やセカンドハウス等の住居用途で土地を使用する場合、ライフラインは避けて通れないチェックポイントです。
ライフラインは、一般的に人家のある住宅地を中心に整備されているため、例えば ”人のいない場所でひっそりと暮らしたい” と山奥の土地を購入しても、水の供給配管が近くになければ、井戸や雨水を貯水する等、市街地での生活とは全く異なる整備を検討する必要が出てきます。

⑤ 近隣関係
近隣関係も、不動産とは切っても切れない要素の一つです。
これを十分にチェックせず、ずさんな扱いをしていると、いわゆる ”ご近所トラブル” に繋がる恐れもあります。
例えば、隣地に定住者がいるのに、キャンプで焚き火の計画をするならば、隣人が理解を示して承諾してくれない限り、マナーの観点から避けた方が良いでしょう。
また、地方の空き家を改装してカフェをする計画があっても、その敷地や周辺に十分な駐車スペースが無く、路上駐車などで近所迷惑をかける恐れがあれば、予め月極駐車場を確保したり、来店予約制にするなど、オペレーション面での配慮が必要かもしれません。
色々と例示しましたが、つまるところ、近隣関係の重要ポイントは「お互いが気持ちよく、常識的な関係を築ける使い方が出来るか」という観点のチェックをすることです。

⑥ 法律関係
最後のポイントは法律関係です。
これは、現地を見ただけでは分からないことが多く、基本的に該当地の市町村役場での調査が中心になります。
例えば、建物を建築するための土地を探しているとき、周囲に民家が点在していたとしても、候補地が法律の制限によって建築不可になっているケースもあり、「周囲に家があるなら大丈夫だろう」といった、現地を見ただけの早計な判断は大変危険です。
不動産に関わる法律は数十種類を超える法律があり、「専門家でなければ、これだけの法律による制限を全て把握するのは困難なのでは!?」と思うかもしれませんが、
最近は各市町村役場が提供するオンライン地図で、対象地に適用される法律の制限が一覧で検索できるなど、調査の効率性が飛躍的に上がっています(「〇〇町 都市計画」「△△市 用途地域」等と検索するとヒットしやすい傾向にあります)。
また、オンライン提供が無い自治体でも、ほとんどの場合は電話でも法令について教えて貰うことができますので、電話にて該当地の “地番” を伝え、調査することをお勧めします。
最後に、当サイトで特に関連しそうな重要な法令と、その概要をご紹介します。
・都市計画法:都市整備・開発に関する制限(市街化区域/市街化調整区域の指定など)
・建築基準法:建物用途や規模、道路に関する制限(用途地域、容積率、私道など)
・農地法:農地の利用、譲渡等に関する制限(対象地が農地の場合)
・土砂災害防止対策推進法:土砂災害の危険度指定や制限(対象地が傾斜地等の場合)

それでも不安なときは、躊躇せずに専門家へ相談しましょう
ご紹介した6点を押さえれば、購入を予定している土地について、ほぼ ”あらゆる方位から網羅できた” ことになるはずです。
ちなみに、その中でのテクニックとして、特に購入者は「自分は〇〇の用途で対象地を買いたいが、(各ポイントの観点から)なにか不安要素は無いか?」といったように、チェックの主旨を明確にして質問・相談をしていくことで、質問から派生した有益な情報を得られやすくなります。
最後に、ここまでチェックしてもなお、「100点満点のチェックが出来ているのか不安だ」という場合もあるかもしれません。
そのときは、多少の出費を覚悟してでも、躊躇せずに専門家に相談しましょう。
