山林を購入して活用する場合、敷地内にマイカーが入れる道を造ることで土地の用途が大きく広がります。
住宅を建設するときにもダンプやクレーン付きのトラックなどが入れる道が必要になる場合がほとんどです。
どんな工事を行うかは、土地の活用方法に加え、傾斜や起伏、車道からの距離といった立地条件に応じてさまざま。
今回は敷地内での道造りについて考えます。
自然の地形を生かす
まず重要になるのが土地利用のレイアウト。
例えば小屋や駐車スペース、ガレージ、作業場、菜園などを敷地内のどの辺りに配置するか、あらかじめ決めておくと土地利用がスムーズに進みます。
陽当たりや水はけ、道路からの距離、眺望、樹木の有無など、同じ敷地内でもロケーションに違いがあるケースがほとんど。
それらを踏まえて土地利用のレイアウトを考えます。
そのときに大切になるのが、なるべく自然の地形を活用するという考え方。
例えば敷地内に道を造るときには、以下のような考え方があります。
① 多少距離が長くなっても等高線に沿って無理のない勾配にする
② 隣地との境界などに、「赤道」や「里道」などと呼ばれる古い道や、古い道の名残りがあれば、あらためて整備して通れるようにする
③ 伐採や抜根に時間が掛かる大きな木はそのまま残し、別のルートを検討する
山林によっては、馬の力で引きながら丸太を搬出していた時代に使われた「木馬道(きんばみち)」と呼ばれる道の跡が残っている場合もあります。
敷地内をよく観察してみると道造りなどに役立つ意外な発見があるかもしれません。

山林の中に設けられた赤道。整備をすることで乗用車での往来が可能になる
ルート選びが重要
下の写真は、実際の山林を例に、キャンプサイトなどとしてメインで利用したい場所に至る道のルートを示したものです。

実際の山林を基にしてイメージした道造りのルート図
写真手前側に軽トラが通れる程度の道幅の赤道が通っています。
水はけや眺望を考えて、少し高くなっているA地点の場所に小屋を建てると想定し、
赤道と敷地内に向かう道との分岐となるB地点から敷地内の道の終点となるC地点まで、20メートルほどの長さの道をイメージしてみました。
分岐点Bから終点Cまでの高低差はほとんどありませんが、終点CとA地点の高低差は3メートルほどあります。
今回は大掛かりな造成工事を避けるため、一段高くなっているA地点の4メートルほど手前まで車で乗り入れられるような道を設計。
そこから小屋までは階段を設けた歩道を造り、徒歩で行き来する想定にしました。
大掛かりな伐採や抜根といった作業がないため、重機を使わずに人力でも作業ができそうです。
一方、A地点に一般的な住宅を建てる場合、工事用のトラックなどが直接乗り入れられる道が必要になります。
この場合、道の勾配を緩くするために等高線に沿う形で道全体のルートを変更。
分岐点Bからまずは斜め右手側に直進し、ある程度の傾斜になったところで、今度はU字形に折り返すような左方向のヘアピンカーブをD地点に設け、斜面に沿いながら少しずつ高度を上げてA地点に到達するルートが考えられます。
ヘアピンカーブからA地点までの区間は、山側の地山(ぢやま)を掘削して、その土を谷側に盛って路肩部分を形成する「切り土」や「盛り土」を部分的に行うため、少し大掛かりな工事が必要になります。
初めに示したルートと比べると延長は約2倍になり、人力では難しい作業になります。
道造りの実際
道造りでは通常、「バックホウ」と呼ばれる建設系の重機を使います。
最初に落ち葉や小枝などが積もった柔らかい表土を取り除いて道の脇などに移動させた後、
地山を削り取ったり、平らにならしたり、全体を掘り込んで路盤の堅さを均一にならしたりしながら道の原形を造っていきます。
傾斜のある山林での道造りの作業では「切り土」や「盛り土」が必要になる場合がほとんどです。
通りやすい道にするためには、なるべく路面の水平を保ち、凹凸を減らすのがポイント。
重機の車体前方に取り付けられている可動式の排土板を上手に使うのがコツです。
道の原形ができたら、重機のアームの先に取り付けられているバケット(ショベル部分)やクローラ(通称・キャタピラ)で地面をしっかりと転圧。
その上に10センチ程度の厚みで全体に砕石を敷けば完成です。

バックホウを使った山林での道造りの作業
等高線を生かして沢を渡る
敷地内に沢や窪地があり、そこを渡る必要があるときにも等高線に沿ったルートを選ぶのが基本です。
下の写真は、フィールドマッチングのコラムでこれまでもご紹介させていただいている八ケ岳山麓で家づくりを計画中のMさんの敷地の図面。

等高線を生かした道のルート
起点から等高線に沿って沢に向かって下り、U字形に折り返した後、
少しずつ登りながら住宅建設予定地に向かう
コンクリート舗装の車道から分岐する形で、住宅建設予定地までの道を敷地内に造成する設計です。
沢を渡る部分には直径40センチほどの土木工事用の樹脂製の菅を埋設。
沢付近を中心に軟弱な地盤で、土地の勾配も大きいため、土砂と砕石を全体に厚く敷き詰めて路盤を改良するとともに、道の勾配がなるべく緩くなるようにしてあります。
また道のルートをなるべく等高線に沿わせています。
道の勾配は一般的に15~20%(100メートル進んで15~20メートル上がる)を超えるとマイカーで上がるのが難しくなります。
敷地内に道を造る場合、最大でどの程度の勾配になりそうかも確認したいポイントです。
業者に頼む?それとも自力で?
こうした敷地内での道造りは、一般的には住宅建設工事と併せて建設業者などに任せるケースが一般的です。
ただ自分自身で重機をレンタルしてチャレンジするひともいます。
時間と労力、重機操作や土木作業についてのある程度の知識が必要になりますが、手付かずの土地に自分で道を拓いていく醍醐味があります。
道造りのすべてを自力で完結させるのは難しくても、例えば砕石敷きだけを自分でする方法も考えられます。
地元の砕石業者などから砕石を購入してダンプで現場まで運んでもらい、スコップや一輪車などを使って少しずつ道の上に敷いていきます。
道の延長によってはかなりの重労働になりますが、検討してみてもよいかもしれません。
ただ道造りのために大きな木を伐る必要がある場合は、十分な経験と適切な資機材がないと大きな危険を伴います。
大きな木の場合、伐採後の抜根に大型重機が必要になるケースも多いため、やはり専門業者に頼んだ方がよいでしょう。

十分な経験がないと危険を伴う場合が多い伐採作業
維持管理も重要
アスファルトなどで舗装をしていない道は、大雨などで雨水が流れ込むと路面に敷いた砕石が流れ出したり、
山側の土砂が崩れ落ちて道幅が狭くなったり、冬場の凍結と春先の融解で部分的に陥没したりといった問題が起きることが珍しくありません。
そうした部分を日ごろから手直しして使っていくことが重要になります。
人力で道の補修作業をする際には、一輪車やスコップ、じょれん、つるはしといった昔ながらの道具が活躍します。
ホームセンターでも手軽に購入できるこうした道具は、見た目は地味ですが山暮らしの力強い助っ人。
庭造りや小屋造りといった敷地整備でも役立つので、ぜひ揃えておきたいものです。

道の維持管理で活躍する道具たち。左は砕石敷きで役立つ「じょれん」
一方、路肩が大きく崩れたり、大きな木が倒れ込んで道をふさいだりといった場合は、大掛かりな作業になる可能性があるため、危険防止のためにも専門業者に対応を相談した方が良いでしょう。
維持管理を含めて、無理のない範囲で道造りのプロセスを楽しみたいものです。