買った山林をどう活用するか?(キャンプ編)

「気が向いたらいつでも出掛けられる自分だけのキャンプエリアがほしい」という思いは、ある程度キャンプに慣れたひとの多くが抱く憧れではないでしょうか。

加熱するキャンプブームで休日を中心に混み合うキャンプ場を避け、なるべく静かな場所で過ごしたいと感じるひとも多いでしょう。

 

内部で暖房用のストーブを使えるテントなど、キャンプギアの発達で年間を通してキャンプを楽しみやすくなった点も、プライベートなキャンプエリアへの関心が高まっている背景にありそうです。

今回はさまざまなメディアで取り上げられるようになった「キャンプ目的での山林購入」について、楽しみ方や注意点を考えます。

 

好きなときに自由に過ごせるキャンプエリアへの関心が高まっている

 

車で入れる道路の確保が重要

地域にもよりますが、山林の坪単価は都市部の住宅地とは比較にならないほど安い場合が多く、また農地のように売買が厳しく制限されていないため、売り物件さえあれば、購入自体は比較的容易といえるでしょう。

 

一方で、”木が生えている” “面積が広い” “傾斜がある” “敷地内に沢や窪地がある” “車で入るための道路が整備されていない” などなどのひとクセある特徴が、一般的に挙げられます。

 

キャンプ用途に限らず、土地利用でまず重要になるのが「車で入るための道路の問題」。

キャンプ道具の搬入だけでなく、万一の怪我といった緊急時の移動のためにも、最低限、四輪駆動の乗用車が通れる道を確保できると安心です。

 

ここで確認しておきたいのが「他人の土地を通らなくても自分の土地に出入りできるか」という点。

山林の境界は曖昧な場合がおおく、また農山村には「里道」や「赤道」と呼ばれる管理実態や、境界が不明確ないわゆる「昔の道」や「昔の道の痕跡」のような道が多く存在します。

土地へのアプローチに不明瞭な部分がある場合、後々のトラブルを避けるためにも、購入前に地元の不動産業者や市町村役場などに相談した方が良いでしょう。

 

公道の場合でも特に未舗装の場合は道自体が荒れている場合もあります。

そうした場合、市町村役場に道の補修について相談したり、自分自身で部分的に砕石を入れたりする対応が必要になるかもしれません。

道の補修に必要な砕石を地域住民に無償で配布している自治体もあります。

特に購入した土地にキャンピングトレーラーやトレーラーハウスを置く場合は、道幅や路面の強度などがトレーラーの搬入に対応できるかどうかを確認する必要があります。

 

土地の利活用で重要になるアプローチ道路の確保

 

いろいろ生かせる敷地内の樹木

購入した山林に生えている樹木は、土地利用の障害になる場合もありますが、うまく生かせば土地の整備やアウトドアでの遊びに活用できます。

土地の整備で意外と利用価値が高いのが、土留め用の丸太や杭材など資材としての用途です。

 

山林の場合、土地自体に傾斜がある場合がほとんどのため、駐車スペースの確保、歩道や階段づくりなど、ちょっとした土木作業に丸太があると重宝します。

スコップやツルハシ、クワといった手道具を使って土地を整形した後、丸太を横に並べて土留めとし、細目の丸太を杭として打ち込んで固定するのが代表的な使い方です。

 

敷地内に小さな沢があれば、丸太を数本横に並べ、「かすがい」と呼ばれる金具を打ち込んで丸太同士を固定させることで、丸木橋を造ることもできます。

このように土木資材として丸太を活用する場合、のこぎりなどで切ったり、人力で移動させたりすることを考えると、直径15センチ程度までの太さのものが使いやすいでしょう。

 

細目のケヤキの丸太を駐車場の土留めに活用しているケース

 

木を使う遊びではツリーハウスが有名ですが、そこまで手を掛けなくても、例えばハンモックを吊るして昼寝をするだけでも新鮮な感覚を楽しめます。

また体幹を鍛えられる遊びとして人気上昇中の「スラックライン」は、基本的に樹木の間に設置するため、森の中で楽しむのにぴったりです。

 

一方、森の中での遊びとして注目度が高まっている「ブッシュクラフト」は、木の枝や倒木など、身の回りのものを使って焚き火をしたり、夜を明かすためのシェルターを作ったりするスタイルが特徴。

特にキャンプの大きな楽しみとなる焚き火用の薪は現地で調達することで楽しみが増します。

 

ほとんどの山には枯れて自然に倒れた木や、強風などで折れて地面に落ちた大小の枝があります。

着火のしやすさや火力、火の持ち具合などは、木の種類や乾燥具合に応じてさまざまですが、敷地の整備を兼ねて、まずはそうした不要木を薪やブッシュクラフトの材料として使うのがお勧めです。

 

森の中の材料でさまざまなものを作るブッシュクラフト

 

ウッドショックや薪ストーブユーザーの増加といった影響を受け、薪を含めてホームセンターなどで販売されている木材価格が値上がりしたり、入手が難しくなったりしている昨今。

土地に生えている木の特性を生かし、無駄なく使うのは山林を所有する醍醐味であり、お財布にも優しいのが魅力といえそうです。

 

注意したい事故やトラブル

 山林を購入してプライベートキャンプを楽しむ場合、まず注意したいのが焚き火による山火事。

特に空気が乾燥して風が強まる春先は危険が高まります。

 

焚き火を楽しんだ後の炭や薪の完全な消火に加え、地面を掘ったり、石で囲ったりして周囲に延焼しにくいファイヤープレイスを作ることも有効です。

別荘地のようにある程度、建て込んでいる場所では煙に対する苦情にも配慮が必要です。

 

近隣に別荘地や民家がある場合は騒音にも気を配りたいものです。

野外フェスのような感覚で大型スピーカーなどを持ち込むと、想像以上に遠くまで音が伝わります。

近隣住民とトラブルになるケースも実際に起きているので注意が必要です。

 

トイレに関しては少人数による利用なら、屋外で済ませても大きな問題はないでしょう。

ただ「大」については穴を掘ってから用を足し、微生物による分解を促すために土をかぶせて落ち葉を掛け、使用した紙は持ち帰るか完全に燃やすなどの配慮が必要です。

大人数で長期間過ごす場合は、携帯トイレやバイオトイレの設置などを考えた方が良さそうです。

 

また、キャンプで発生したごみは持ち帰るのが基本です。

特に生ごみは放置しておくと野生動物が集まり、周囲の農地などへ被害をもたらす可能性があります。

 

敷地内に生えている枯れ木や枯れ枝にも注意が必要です。

傾いて他の木にもたれ掛かっているような木は、強風時などに倒れたり折れたりして頭上に落ちてくる恐れがあります。

特にアカマツやシラカバは、立ち枯れしやすく、枯れているか生きているか見分けにくい場合があるので注意が必要です。

また高い場所に生えていた枝が折れ、下に生えているほかの枝の上に乗っかっている状態の場合、風などで地面に落下する場合があります。

少なくともテントサイトの周囲については、頭上にそうした危険物があるかどうか、しっかりと確認しましょう。

 

チェーンソーを使う樹木の伐採は危険が伴い、毎年多数の事故が起きています。

特に折れやすい枯れ木の伐採は、プロでも緊張を強いられます。

伐採の技術や注意点については、あらためて当コラムで取り上げたいと思いますが、初心者だけの作業は避けるのが原則。

チェーンソー利用に関する講習会などに参加し、プロからきちんとした技術を教わりましょう。

 

経験が浅いと大きな危険を伴う樹木の伐採

 

将来展望も大切

キャンプ目的で山林を購入する場合、自分自身が高齢になって利用できなくなった場合などにその土地をどうするかを考えておくことも重要です。

 

高度経済成長期やバブル経済の時期に人気を集めた別荘地やリゾート地には、購入後に放置された山林や中古別荘が目立ち、山林の荒廃や景観、防犯面での問題が各地で起きています。

子や孫などが引き継ぐのか、それとも売却するのか。

そうした将来展望をある程度、イメージして「負動産化」させない意識も大切になります。

 

一方、土地のニーズが多様化する中、従来では買い手がつかなかった山林や遊休地を活用して、キャンプや小屋造りなど自分なりの楽しみの場にするひとも増えています。

土地の所有者の方も、そうした新たな土地利用の動きに着目してみてはいかがでしょうか。

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