加熱するキャンプブームやリモートワークの拡大によって、移住者を含めて都市部から地方部へのひとの流れが強まっています。
ただ全体的には、観光地や別荘地として元々ポピュラーなエリアの人気が依然として高い印象を受けます。
都市部からの交通の便や過ごしやすい気候、また「周囲に同じような移住者が多い安心感」といった条件を重視するひとがおおい傾向の現れかもしれません。
一方、限界集落や過疎地域に移り住むひともおり、理想とする暮らしや土地の条件は千差万別。多様化が進んでいるともいえそうです。
今回は「理想の土地との出会い方」について深掘りしたいと思います。
アンテナを広く張り、複数の業者サービスを利用する
都市部に比較的近い人気エリアでは、高度経済成長期以降、長い年月を掛けて別荘地開発が進んできた場所が多く、さまざまな不動産業者が土地や中古物件を販売しています。
一方、購入希望者も多く、理想とするロケーションや面積、価格帯の物件を見つけるのがなかなか難しいケースも目立ちます。
1区画が100~150坪程度の比較的小面積の分譲地や、建物同士が意外と近接している場所も多く、
「『ポツンと一軒家』のようなロケーションの場所がなかなか見つからない…」といった悩みも聞かれます。

山梨県北杜市のJR小海線甲斐小泉駅
都市部から比較的近いため 周辺は別荘地が多く定住者も増えている
物件を探す場合、まずは希望する地域を対象に、地元の不動産会社が掲載している情報を調べ、気になる物件があれば現地を案内してもらう流れが一般的です。
ただし地方の場合、別の仕事をしながら地元住民から依頼された土地を売買する形で不動産業をしている事業者もいます。
web上では物件情報を公開していないケースもあるため、電話で直接問い合わせをしたり、実際に店舗を訪ねたりしないと情報を得られない場合があります。
また、同じ自治体の中でも個々の不動産業者によって力を入れている地域や物件のタイプに違いがある点にも留意が必要です。
管理費が掛かる管理別荘地を中心に扱っていたり、逆に1000坪以上の広めの山林物件を得意としていたり、集落内の古民家物件に詳しかったりなど、それぞれの強みがあります。
「ソロキャンプ」や「プライベートキャンプ」といった言葉がある程度、定着してきた昨今ですが、
「週末にひとりで静かに焚き火を楽しむための手頃な広さの山林を買いたい」といったニュアンス的な部分が、地元の不動産業者にうまく伝わらないケースも少なくありません。
自分自身の要望を的確にくみ取ってくれて、それに応えてくれる業者と出会えることも土地探しを成功させる近道となるでしょう。
別荘地やリゾート地の場合、土地や物件の所有者が別の場所に居住していることが多いため、都市部など地元以外の不動産業者が物件を取り扱っているケースもあります。
また「フィールドマッチング」のように、一般的な不動産業者では取り扱いが少ないユニークな物件情報を紹介するサイトも生まれています。
アンテナを広く張って丁寧に情報収集をすることで、希望に沿った物件に出会えるチャンスが増えるでしょう。
土地に対するニーズが多様化する中、山林や遊休地の相続や処分に頭を悩ませている所有者の方も、信頼できる不動産業者に相談したり、山林や遊休地専門のマッチングサイトに登録したりすることで悩みの解消につながるかもしれません。

移住先として人気を集める山梨県の北杜市が開設する
「空き家バンク」のスマートフォン向けサイトに掲載された売却物件の例
自力で探し出す?!
ネットに頼らず、気に入った土地を自分で見つけ出して購入するひともいます。
地域をある程度絞ったら、景観や陽当たり、傾斜、生えている樹木の種類、近隣の家からの距離といった自分の希望条件を満たす土地をデジタル、アナログ双方の手法を駆使して見つけ出すのです。
筆者の知人Aが実際におこなったのが、Google earth の衛星写真を活用する方法。
まずは地域をある程度絞り込み、「夕日を眺められる、南向きの緩傾斜の落葉樹の森」といった希望条件の土地をGoogle earthでリサーチ。
候補を見つけたら実際に現地に出掛けてイメージと合致するかを確かめます。
続いて、現地の市役所や町村役場で土地の所有境界が載せられた公図を取得。
建物の建築制限がないかなどを役場の担当者に確認してもらいます。
その後、土地の所有者の住所などが記載された登記簿を法務局で取得。
所有者と連絡を取り、売却の意思を確認したり、価格面の希望を相談したりしたそうです。
また、実際に土地を購入する際は、取引時のトラブル防止のため地元の不動産業者に仲介に入ってもらったとのことです。

土地探しでも活用できるスマホ版Googleearthのスクリーンショット画像の例
土地のロケーションなどを手軽に確認できる
こうした方法の場合、電気や水の確保についても事前に検討する必要があります。
電気の場合、電力会社の費用負担で敷地まで電線を引き込めるか。
水の場合は公営水道を利用するか、敷地内に井戸を掘るか、また近隣世帯が共同で管理する井戸を使うかなどです。
水の確保については、水資源保護の観点で井戸の掘削を規制している自治体もあります。
また敷地から離れた場所までしか公営水道が敷設されておらず、敷地まで水道管を引き込もうとすると多額の自己負担による工事が必要になるケースもあります。
このように、土地の用途をキャンプ向けなどに限定しない場合は、インフラ整備についての検討が重要になります。
また購入した土地に住宅を建てる際は、敷地の一部が一定以上の道幅の道路に一定の長さ以上接しているか、といった建築基準法の接道義務を満たす必要もあります。
自力で土地を探して購入する場合は、将来的に自分が希望する用途で使えるかどうか、事前のリサーチがとても大切になります。

購入した土地の利用について、さまざまな制約が掛かる可能性があることにも留意したい
土地探しの方法は千差万別 ニーズも多様化
土地探しについて、いくつかの方法を取り上げました。
しかし探し方や出会い方は千差万別。そしてどんな土地を求めているかも十人十色です。
例えば筆者の友人Bは古民家暮らしに憧れて長野県の過疎地域に夫婦で移住しましたが、まずは借りやすい公営住宅で暮らしながら、マイペースに理想の住まいを探しています。
最近、近所のお年寄りと仲良くなり、山林や畑、さらには池まで借りて、シイタケ栽培や薪づくりなど充実した山村暮らしを送っているようです。

山を借りた友人が楽しんでいるシイタケの原木栽培
一方、山梨県の八ケ岳山麓に移住した知人Cは、賃貸の別荘物件に住みながら地元企業に就職。
働きながら自分好みの山林物件を自力で見つけて所有者から直接購入し、休日に少しずつ敷地を整備して小屋造りなどを楽しんでいます。
ロケーションや面積にどこまでこだわるか、また時間や予算にどの程度の制約があるか。
土地探しの方法は自分自身の価値観やライフスタイルに応じてさまざま。
現実的にはある程度の妥協が必要になるケースがほとんどでしょう。
ですが旅行の準備と同じように、土地探しはそのプロセスを含めて楽しめたら良いのでは、と個人的には感じています。
土地に対するニーズが多様化している中、
土地の所有者の方も「こんな不便で荒れた土地は誰の役にも立たないし、誰も買わない」などと思い込まず、
遊休不動産のマッチングサイトなども活用しながら、土地の価値を生かす方法を検討してみてはいかがでしょうか。