荷物を固定する、丸太を運ぶ、木にハンモックを掛ける…。季節を問わずフィールドでのいろいろな作業で役立つのが一本のロープ。今回はロープをさまざまな道具に変身させるための「ロープワーク10選」を前後編の二回に分けてご紹介します。
用途に応じたロープを選ぶ
ロープワークを覚える前に、まず検討したいのが用途に応じたロープの使い分け。直径や材質、編み方などでロープにはさまざまな種類があり、それぞれ引っ張り強度や摩擦力、手へのなじみやすさ、重さなどが異なります。一般的には軽トラの荷台に積んだ荷物を固定するには化繊素材の丈夫なKPロープ(トラックロープ)、山仕事や山歩きなどでザックに入れておくと活躍するのが軽くしなやかで強度のあるクライミング向けのナイロンロープ(パワーロープ)、ハンモックや庭の柵といったエクステリア系の資材として使うときは、温かみのある風合いで丈夫な木綿素材のロープなどが適しています。

材質や風合い、強度などが異なるさまざまな種類のロープ
フィッシャーマンズノット 長さが足りない…そんなときはこれで連結!
釣り好きの人が最初に覚えるのがフィッシャーマンズノット。二本の釣り糸同士を結び合わせるときに使われることから「漁師結び」や「テグス結び」とも呼ばれます。結びやすく、ほどけにくいのが特徴で、ロープの長さが足りないときなどに二本のロープを結び合わせる場面で役立ちます。短いひもやロープでもつなぎ合わせることで有効に使えるため、覚えておくと便利です。強度を高めたいときは、ロープのターンをもう一回増やしてストッパーとなるコブを二つ作るダブルフィッシャーマンズノットにします。
ロープの末端をカラビナやフックなどに連結させるときにはフイッシャーマンズノットの兄弟的な結び方ともいえる「ダブルフィッシャーマンズループ」を使うと、緩みがなくしっかりと結び付けられます。

釣り糸の連結以外にもさまざまなシーンで役立つダブルフィッシャーマンズノット
八の字結び(エイトノット) ロープに丈夫な輪が完成!
ロープの末端や途中に丈夫な輪を作るときに使うのがエイトノット。文字通り8の字形をしています。クライミングや登山といった命を託す場面でも多用される信頼性の高い結び方で、完成した輪にカラビナを掛けたり、フックに引っ掛けたりと使い方はさまざま。きちんと結べているかは「8の字」の形で確かめます。
ロープを二重に折り返さずに一本の状態のままで「8の字」を作り、次に末端を木の幹などに回してから、最初に作った「8の字」に沿わせて結ぶ方法もあり、これは「通しエイト」などの略称で呼ばれています。木や柱などにロープの末端を結び付けることができる頑丈で緩みにくい結び方です。

丈夫でほどけにくい輪ができる8の字結びはロープワークの基本
ラビットノット 丈夫な「ウサギの耳」は使い道さまざま
8の字結びの応用で、ウサギの耳のような二つの「わっか」ができるのが「ラビットノット」。ロープを折り返す回数が増えるため、強い荷重が掛かった場合でも結び目をほどきやすく、輪が二つできるので強度的な安心感も高まります。二つの輪を一つずつ持って二人一組でロープを引っ張る作業などに向くほか、スタックした車を別の車で牽引するときなど、強い荷重が予想されるときにも向いています。

丈夫でほどけにくい輪が二つできるラビットノットも応用範囲が広い
バタフライノット ロープの途中に「わっか」が完成!アイデア次第で幅広く活用!
ロープを手で引っ張るときに握りやすくしたり、木の間に渡したロープに物を吊るしたり、ロープを縄梯子として利用したりと、さまざまな用途に使えるのがバタフライノット。ロープの途中に頑丈な輪を作る点では8の字結びと同じですが、強い荷重が掛かっても比較的ほどきやすいのが特徴です。こうした特徴を生かしてロープの途中に支点(アンカー)を作る際にも使われます。
手のひらにクルクルとロープを巻きつけていく結び方を覚えてしまえば意外と簡単。アイデア次第で使い道が広がる結び方です。
輪の中に強い荷重が掛かってもほどきやすいバタフライノット
巻き結び(クローブ・ヒッチ) 結びやすくほどきやすい万能選手
慣れれば片手で結んだりほどいたりできるものの、荷重が掛かるとしっかりと締まる。そんな「ちょっと使い」に便利なのが巻き結び。クローブヒッチやインクノットとも呼ばれます。クライミング中の転落防止のための自己確保に使われることが多いですが、ガーデニングなどの屋外作業や工作などいろいろな場面で活用できます。
例えば地面に杭を打ち込んで太目のロープを巻きつければ簡単な柵が完成。キッチン用品を台所に吊るすためのひもの取り付けなど、工夫次第で使い方が広がります。巻き結びの大きな特徴は、結び目の前後のロープの長さを簡単に調整できる点。例えば二本の木の間にロープを張る際に、片方の末端を八の字結びなどで木に結び付け、もう片方を巻き結びで別の木に結び付けることで、テンションの張り具合を簡単に調整できます。
ただ荷重の掛かり具合によってはロープの末端が抜けてしまうことがあるので、末端に「止め結び」を施すなどの注意が必要です。

結ぶのもほどくのも簡単な巻き結び

中華鍋をキッチンに吊るすため、巻き結びを使って柄の部分に結び付けたひも
今回紹介したロープワークはいずれも代表的なもので、ロープワークの本などで結び方が紹介されています。またネットで検索をすると結び方をわかりやすく紹介する写真や動画がたくさんアップされており、結び方の練習に役立ちます。秋のキャンプシーズンまっさかりの今、まずは一つずつ、気に入った結び方を覚えてみてはいかがでしょうか。