働く場所はある?田舎の「シゴト事情」(後編)

多様な働き方が広がりつつある中、地方移住や二地域居住に関心を寄せる人が増えています。そこで気になるのが移住後の仕事。

今回は田舎での働き方を前編・後編にわけて考えたいと思います。

独立開業を目指す

 私が暮らす八ケ岳山麓など観光客が多い地域では、移住後に飲食店などの独立開業を目指すひともいます。また有機農業や造園、林業などの仕事で経験を積んだひとが独立開業するケースも少なくありません。

 

 そうしたひとたちの中には、しばらく他の仕事のアルバイトをしながら開業資金を貯めたり、店舗用の適当な物件を探したりするケースが目立ちます。自分自身の周りにも、レストランや珈琲店の開業を目指し、普段は別の飲食店や造園屋さんの草刈りといったアルバイトをして生活費を稼いでいる移住者が何人かいます。

 

 リスクはありますが、自分自身のスキルや志向を踏まえて独立開業や起業にチャレンジするのも人生の醍醐味の一つ。店舗改装や資機材購入といった経費に充当できる起業支援向けの補助金制度を設けている自治体もあるのでチェックしたいところです。

起業や新規就農を後押しする自治体の支援事業もチェックしたい

 

半農半X?いろいろな仕事を組み合わせる

 都市部では一つの企業でフルタイムで働くサラリーマンとしての働き方をするひとが多いですが、いくつかの仕事を組み合わせてフリーランスとして働く人も田舎では珍しくありません。例えば長野県に移住した友人は、ソバ畑の草刈りや郵便配達のアルバイト、ネットでの海外雑貨の輸入販売、工務店や造園屋さんの手伝いといったさまざまな仕事を組み合わせて生計を立てています。

 

 高齢化が進み、労働力不足が深刻な田舎では移住者は地域の貴重な労働力。移住後、地域住民との信頼関係がある程度生まれてくると、定職に就いていなければ「暇なら手伝って」とさまざまな仕事を頼まれるかもしれません。そうした依頼が芋づる式に広がって「気付いたら土日も仕事をしていてサラリーマン時代よりも忙しくなっていた…」というケースも実際に見聞きします。

 

自分自身もフリーランスとして、樹木伐採などの林業関係や取材記事のライティングといった仕事を中心にしています。朝晩の犬の散歩のほか、空いた時間には知り合いの米作りの手伝いや原稿執筆、自宅の手直し、近所の草刈りなどをしているため、都市部でのサラリーマン時代よりも休日が減り、逆に忙しくなった印象です。基本的に自分の裁量で働くことができ、仕事の合間に山菜やキノコを採ったりできる面白さがある半面、いくらでも仕事や予定を詰め込めてしまうため、意外とオーバーワークになりがちな点が悩みの種。身体も頭も動かす田舎の一次産業系フリーランスは、都会のサラリーマン以上に自己管理が大切になると感じています。

 

仕事の合間のキノコや山菜採りも田舎暮らしの楽しみの一つ

 

一方、こうした仕事の中にはボランティアだったり、事前に日当や手当てが明示されなかったりするケースも少なくありません。報酬の多寡ももちろん重要ですが、さまざまな人たちとのつながりができることも有形無形の財産になると個人的には考えています。

メインの仕事以外の予定も多く、意外と忙しい田舎暮らし

 

大事なのは自分なりの価値観

 これまで取り上げてきたように、通信環境の整備や人口減少に伴う労働力不足によって、田舎での働き方も多様化しています。また自分自身の職歴や志向に加え、観光地か否か、山間部か海沿いか、あるいは積雪が多い地域かどうか、といった立地特性によっても移住後の仕事は大きく変わってきます。人口が少ない田舎は、住民同士がつながりやすく、初対面のひとでも共通の知り合いがいることが珍しくないため、そうしたきっかけで新たな仕事面でのつながりが生まれることも少なくありません。

 

 独立や起業を目指すのか?ひととの出会いや偶然に身を任せた柔軟な働き方を楽しむのか?あるいは最低限の現金収入で自給自足的な暮らし方を追求するのか?地元企業に就職するのか?その答えはまさに十人十色。

自分に合った田舎での働き方を見つけたい

 

大事なのは「田舎で暮らして何をしたいか?」「何をしたら面白いか」という感覚を大切にしながら生き方を模索することなのかもしれない。

これが移住8年目に得た自分なりの結論だと感じています。



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