働く場所はある?田舎の「シゴト事情」(前編)

多様な働き方が広がりつつある中、地方移住や二地域居住に関心を寄せる人が増えています。そこで気になるのが移住後の仕事。

今回は田舎での働き方を前編・後編にわけて考えたいと思います。

 

深刻化する地方の人手不足、仕事はある

 少子高齢化対策が差し迫った課題になっている日本。都市部への人口流出と高齢化が進む田舎では働き手の不足は都会以上に深刻です。

 特に農林業をはじめとする一次産業は、IT化や自動化を進めにくいため、労働力が不足しがち。一方、飲食店やスーパー、観光施設をはじめとする小売りや接客業などでも地方では労働力不足が大きな課題になっていると感じます。

飲食店や小売業などを中心に

さまざまな求人情報が載せられている求人情報誌

 

 ときどき「田舎に住んでも働くところがないのでは?」という声も聞かれます。ただ地方に移住して今年で8年目になる自分自身としては「仕事を選ばなければ、働くところは少なくない」というのが実感です。一方、給与面では正規・非正規ともに都心部と比べると低めの場合がほとんど。仕事の選択肢も都会と比べると減ってしまいます。このため地方移住では、住居費などの固定費を抑えるといった家計管理の工夫が一層大切になるとともに、限られた求人の中から自分の希望に近い仕事内容や雇用条件のものを探し、ある程度妥協しながら働く柔軟性も求められます。

農林業などの一次産業を中心に人材確保が課題となっている

 

リモートワークという選択肢も

 移住後の働き方にはさまざまな形態があります。収入面での変化が少ないのが、ネットなどの通信環境を活用する在宅ワークを続けるパターン。コロナ渦以降、新しい働き方として注目を集めている「ワーケーション」や「ノマドワーカー」といったオフィス以外の場所で仕事をするスタイルは、基本的にパソコンやタブレットを使ってリモートで仕事ができることが前提になっています。

暮らす場所が変わっても都会と同じ仕事ができれば、収入面の変化がなく、移住へのハードルが大きく下がるメリットがあります。また基本的に地元住民や他の移住者と付き合わなくても仕事や暮らしが成り立つため、都会と同じような感覚でパーソナルな時間や空間を保ちやすい点も特徴といえます。

 

実際に自分自身の回りを見ても「都会から森の中に引っ越してきたようだけど、いつも家にいる様子で何の仕事をしているのか分からない」というひとがいます。散歩中に偶然出会って話してみると、在宅でwebデザインの仕事をしている人だった、などというケースは少なくありません。通信環境の整備が進み、オンラインでの打ち合わせや会議もすっかり定着した中、こうした新しい働き方をする移住者は今後も増えそうです。

また、さまざまな在宅ワークが紹介されているクラウドソーシングサイトの利用者が増えたことも地方での多様な働き方を後押ししていると感じます。こうした中、移住や二地域居住促進に向けた施策の一環として、地方の自治体や企業などがコワーキングスペースを開設する動きもコロナ渦以降、目立っています。ある程度の利用料は掛かりますが、そうした空間を利用することで、業種を超えた横のつながりが生まれることも期待できます。

移住や二地域居住のエリアとして人気が高い

山梨県北杜市に開設されたコワーキングスペース

 

一次産業に転職!

 一方、移住や地域居住を契機に、農林業などの一次産業に転職するひとも少なくありません。前述したように農業生産法人や林業会社などの多くで人材確保が課題になっており、地方の求人情報誌やハローワークなどにはそうした分野の求人情報が多く掲載されています。

私自身も年前、八ケ岳山麓への移住を契機に、まったく初めての林業の仕事に飛び込みました。ヘルメットをかぶり、重機やトラックに囲まれた「現場系」の仕事は初めてで、最初は右も左も分からず、仕事に慣れるのに必死でした。想像していた林業の世界は、山奥の作業小屋に寝泊まりをしながらのんびりと木を伐り、昼は焚き火をしてお茶をいれるという昭和20~30年代頃の林業の世界。高性能の大型重機を駆使する現代林業の姿を目の当たりにして「イメージと違い過ぎる…」と衝撃を受けたことを覚えています。

 

 こうしたケースは極端かもしれませんが、都会に住むひとにとって、農業や林業、漁業といった仕事は「自然の中で身体を動かして働く」という漠然としたイメージを抱きがち。近年は自治体や業界団体などが主催する移住者向けのインターンシップ事業や就業支援講習も充実してきており、そうした場があればぜひ活用したいものです。

 地方では一次産業を含めて家族経営などの中小零細企業が大半を占めます。大企業のようなギスギスとした雰囲気がなく、家庭的な温かさがある場合もありますが、就業時間や休日といった労働条件があいまいだったりして、不満を抱えながら働いているひとも少なくありません。せっかく移住したのに、仕事面でのストレスを募らせないためにも、転職先の社風や雇用条件についての事前リサーチも重要になります。

未経験の仕事への理解が深まるインターンシップ

 


   (働く場所はある?田舎の「シゴト事情(後編)」をお楽しみに!)

 



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