意外と重要! 木を伐った後の作業とは?

 前回は山の中などに生えている樹木の伐採方法を取り上げました。今回は枝払いや玉切りなど、伐った後の「その後」について考えます。

 

 樹木の伐採はさまざまな危険を伴い、緊張を強いられることが少なくありません。しかし伐採に要する時間は全体の中では意外と短時間。

それよりも枝払いや玉切り、そして枝葉や丸太を敷地の隅などに移動させたり、薪にしたりする作業に労力が掛かる場合が少なくありません。

 

「Yの字」をなくす!

 伐採後に地面に倒れ込んだ木は、じゃまにならない場所に移動させるにしても、薪作り用の丸太を作るにしても、まずは枝を切り離す「枝払い」の作業が必要になります。

 枝払いのコツは、大小の枝を切り離して、なるべく棒状の幹の部分だけにすること。このとき、できるだけ「Yの字」の部分をなくすように枝をカットしていくのがポイントです。

 

 幹や太い枝から枝分かれしている「Yの字」の部分を切り落とし、全体的に「Y」から「I」の形に近づけていくイメージです。

 こうすると幹や枝が直線状になってかさ張らず、両手で抱えて移動させたり、薪や燃し木として使ったりするときにも扱いやすくなります。

 もちろん軽トラックなどの荷台に積むときもかさ張らず、効率的に載せることができます。

 

 ちなみに枝払いや玉切りは、小さい木ならノコギリでもできますが、大きめの木になるとプロ用の良く切れるノコギリを使ってもかなりの労力と時間を要します。今回のコラムでは主にチェーンソーを使う方法を紹介します。

 

枝払い手順 広葉樹編&針葉樹編

 枝や幹が地面から離れている方がチェーンソーで切りやすいため、特に広葉樹の場合は、地面から立ち上がっている木の先端(梢)部分の細い枝から根元付近の太い枝に向けて、順番に切り落としていくと効率良く枝払いができます。

大きく枝を広げているコナラの枝払い。複数で作業をするときは接近し過ぎず、声を掛け合うなどして事故防止に努める

 

 一方、スギやヒノキ、カラマツといった針葉樹の場合は、根元付近から梢の方向に向けて順番に枝払いをするのが基本です。

 これは針葉樹の多くが、竹箒(ほうき)のように整った樹形をしているため、根元から梢に向けて枝払いをした方が動きやすいためです。

 作業者は幹の左側に立ち、木の根元側から梢側に向かって移動しながら枝払いをしていきます。

針葉樹のモミの枝払い。幹の左側に立ち、

根元から梢に向かって枝を払っていく

 

枝のテンションに注意!

 木の枝が地面などに接して折れ曲がっているときは、枝に強いテンションが掛かっています。

 不用意に切断すると一気にテンションが抜けて、枝に支えられて浮いていた幹が「ドスン!」と落ちて足を挟まれたり、枝が弓のように跳ね返って作業者の身体に当たって大けがをしたり、切っている途中でチェーンソーのバーが挟まれたりすることがあります。

 

 枝に強いテンションが掛かっているように見えるときは、こうした事態が起きることを想定し、小さな切れ込みを枝に数箇所入れながら、枝の挙動やテンションの抜け具合を慎重に観察します。

 このとき重要なのは、弓なりに曲がっている枝のカーブの外側には張力、内側には圧縮力が働いている点です。

 

 最初にカーブの外側に数箇所、小さな切れ込みを入れて張力を少しずつ逃がした後、内側にも数箇所、同じような切れ込みを入れ、全体のテンションを少しずつ抜いていきます。

 外側だけ、または内側だけを一気に切ると、テンションが急に抜け、枝が跳ね上がったり、チェーンソーのバーが挟まれたりして危険です。強く張っている枝の繊維を少しずつ切断していくイメージで、様子を見ながら交互に切るのが安全です。

地面に付いて折れ曲がっている枝は、

カーブの外側に張力、内側に圧縮力が働いている

 

玉切りは切りやすいところから

 運びやすい大きさにしたり、薪ストーブ用の薪を作ったりする場合など、木を伐った後には丸太をカットするのが一般的です。

 これを「玉切り」と呼びます。長さは薪ストーブ用の薪を作る場合は30~40センチが中心。林業の現場で丸太を市場などに出荷するときは2~4メートルの長さが一般的です。

 

 切り倒した木は、多くの場合、幹が地面に横たわっています。

 しかしよく観察すると地面に枝が当たって幹が持ち上がっていたり、地面の凹凸や傾斜で幹が部分的に浮いていたりする場所があるはずです。

 長い丸太の状態で出荷する場合を除けば、まずはそうした切りやすい場所を見つけて幹を切断。その後に少しずつ短いサイズに玉切りをしていくと楽に作業ができます。

 

丸太の玉切りのコツ①ブリッジ

 伐採した木の幹の重さは数百キロ、ときには1トンを超えることもあります。

 地面に倒れている丸太は一見すると何も力が加わっていないように見えますが、実は丸太の部分部分で重力に起因するさまざまな力が働いています。このため玉切りの方法を間違えるとチェーンソーのバーが挟まれてしまうことがあります。

 しかし枝払いと同じように「張力」と「圧縮力」の関係を理解すれば、そうした失敗を減らすことができます。

 

 ポイントの一つが「ブリッジ」。丸太が橋桁の上に渡された橋のような格好のときに切るケースです。

 丸太の下側に張力、上側に圧縮力が働いています。この場合、最初に丸太の上側に三分の一ほど切れ込みを入れ、次にチェーンソーのバーを丸太の下側に回し、最初に入れた切れ込みの位置に合わせて切り上げます。

 

 この切り方だと丸太が「くの字」に折れ曲がるような形で切り終わることができ、チェーンソーのバーが挟まれません。

 切り終わった丸太と一緒にチェーンソーのバーが地面に落ちないように、しっかりと腰を入れて体勢を保持し、チェーンソーのバーの先端をやや上向きに保ちながら切るのがコツです。

「ブリッジ」のパターンでの玉切りの練習。足場が良い場所で繰り返したい

 

丸太の玉切りのコツ② 片持ち(シーソー)

 もう一つのパターンが丸太の片側が浮いた片持ち(シーソー)のような状態のときの切り方です。

 この場合は「ブリッジ」とは逆に、最初に丸太の下側を三分の一ほど切り上げた後、チェーンソーのバーを上側に回して切り下げます。

 丸太が「ブリッジ」とは逆向きの「くの字」の形に折れ曲がり、チェーンソーのバーを挟まれずに切りきることができます。

 最初に丸太の下側を切り上げるときに切り過ぎてしまうと、丸太が折れ曲がりチェーンソーのバーを挟まれてしまうので注意します。

「シーソー」のパターンでの玉切り。

「下→上」の順番で切り落とす(撮影協力=TREANT)

 

それでも挟まれたら?

 しかし実際には、この二つのケースのどちらに当てはまるのか分かりにくい場合もあり、切っている途中で、チェーンソーのバーが丸太に挟まれてしまうこともあります。

 これを防ぐためには、林業用のクサビをハンマーで打ち込んで切り口を広げながら切断していく方法があります。チェーンソーのバーが丸太に挟まれてしまった場合も、切り口にクサビを打ち込むことで挟まれたチェーンソーを救出することができる場合があります。

 

 もう一つ、チェーンソーのバーが丸太に挟まれてしまった場合の最も簡単な解決法は、丸太の端を持ち上げながら切れ込みを広げ、チェーンソーを引き抜く方法。

 大きな丸太の場合、2、3人がかりでないと持ち上がらないこともあります。また別のチェーンソーで他の場所を切断し、挟まれている部分に掛かっている丸太の荷重を解放してからチェーンソーを引き抜く方法もよく使われます。

アカマツの大木を玉切りしている途中でガイドバーを挟まれてしまったケース。この後、別のチェーンソーで他の場所を切断して挟まれたチェーンソーを救出した。

 

プロも実践! 薪作りのコツ

  1~2メートル程度に玉切りした丸太を薪ストーブ用の薪にする場合、まずはストーブの大きさに応じて30~40センチ程度の長さに玉切りします。

 このとき、地面に寝ている状態の丸太をチェーンソーで切ると、切り終わったときにチェーンソーの刃が地面に付いてしまい、土や石に当たってすぐに切れ味が落ちてしまいます。これを防ぐためには最初に30~40センチなど一定間隔でノコギリなどで丸太に目印を付けていきます。

 

 その後、目印に沿ってチェーンソーで直径の三分の二程度の深さまで切れ込みを入れたら丸太を手で転がして上下を反転。

 次に最初に入れた切れ込みにチェーンソーのバーを差し込んで、すくい上げるように切り上げて切断します。この方法だとチェーンソーの刃を地面に当てて傷つけることなく、効率的に短いサイズの玉切りを進めることができます。

一定間隔で目印を付けた後、二回に分けて切断する薪づくり向けの玉切り。丸太を転がして上下を反転させるのがポイント(撮影協力=TREANT)

 

 伐倒と比べると地味な印象を持たれることが多い枝払いと玉切り。

 しかし幹や枝に掛かる荷重やテンションを考えつつ、安全で効率的な切り方を考えることはチェーンソーワークの向上につながります。

 林業界では枝払いと玉切りのスピードや精度を競う大会が毎年開かれているほど。意外と奥深い枝払いや玉切りの技術を極めてみてはいかがでしょうか?

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です